#19
「皆、出て!」
サトシ達と距離を取って、自分の手持ちたちを出すためにボールを投げた。
「・・・よし。ここらで一つ、話をしておきたくてな。」
話すことは、自分のこと。
異世界からきたと言う存在の自分。
もしかしたら、明日、消えてしまう可能性だってある。
そのことを話しておかねばと思い立ったのだ。
いつもは皆が周りにいるため、なかなか話せずにいた。
「シェイミは知ってるんだけどな、自分はこことは違う世界からきた存在なんだ。」
「??」
言葉を切ると、一斉に首をかしげた皆。
「なんでか知らないけど、起きたら見たことのない場所に居いて、見たことのない生き物がいたんだ・・・。そこで自分は、異世界に来てしまったって仮定したんだ。」
「ロト・・・」
「・・・そこでだ。皆に聞きたいことがあってね。
自分は・・・この世界で生きていきたいのだが、もしかしたら戻ってしまうかもしれない。
もし自分が戻ったあとの皆がどうなるのか、心配でたまらないんだ。
・・・こんな、いつ消えるかわからないトレーナーでいいの?
もし、なんなら自然に返すことも一つの手段だし。
基本、君たちの意見を尊重する」
今、自分はどんな顔してるんだろう。
「ロトー!!ロトット!」
「ロトム?」
急に騒ぎ出し、飛び込んできたロトム。
「わわ、」
それに続いて手持ちの皆が飛びかかってくる。
[何言ってるの、ヤヅキがどこから来たとか関係ないよ!
僕たちはヤヅキが好きでついてきたんだからね!]
バチュバチュと反論され、他のメンバーにも色々言われた。
「・・・やっべー、超嬉しい。泣ける」
[わわ、泣かないで!!]
目を潤ませたヤヅキの頭を慌てた様子で撫でてくれたフライゴン。
ありがとう。マジで。
「――――!」
「? 今、何か聞こえた。」
[うん、なんだろう?]
シェイミにも聞こえていたらしい。
「ちょっと様子見に行くか」
「フラー」
「ミィ」
「バチュ」
「ロト」
「ズゥ、ミ」
「!?」
2体のポケモンが倒れていた。
しかも、かなり怪我しているようで。
二匹とも・・・これ確か、ミネズミとかいうポケモンじゃなかったっけ?
ひとまず安全そうな場所に運び込んだ。
デント達の所に運ぼうかと思ったが、結構距離があったためやめておいた。
「・・・シェイミ、アロマセラピーって効くと思うか?」
「ミィ!」
早速アロマセラピーを始めたシェイミ。
歩い程度は良くなる・・・のかな?
「そういやあっちに木の実あったな。青いやつ。」
[オレンの実ね。]
「そうそれ」
フライゴンに言われてやっと思い出した。
何があったのか知らないけど、とりあえず体力を回復させねぇとな?
「んじゃ・・・木の実取ってくるよ。その子達の様子、見ててあげて」
[わかったよ]
バチュル、ロトム、フライゴンにアロマセラピーを続けるシェイミにこの場を任せて、さっき通った場所にあった木の実を取りに行くことにした。
「皆、待たせたね」
両手に木の実を抱えたヤヅキが声をかけると、皆が一斉にこっちを振り返った。
[おかえりー]
とりあえず、木の実を食べられるかどうかが問題だな。
「食べれるか?」
「ズゥミ」
「そうか」
ちょっとだるいらしい。
「・・・んじゃ、フライゴン、ドラゴンクローの加減したやつで小さくしてくれね?」
[OK!]
4等分された木の実をミネズミ達に差し出すと、食べてくれた。
「うし、とりあえず回復はできたな?」
「ズミ!」
「ズミー!」
立ち上がれるほどに回復したミネズミ達。
木の実の威力すげえw
「・・・ところで、何であんなになってたんだ?」
「ズミズーミズ!」
「ズミミ!!」
「・・・へんな奴らが襲ってきたのか?」
その言葉に頷く2匹。
変な奴ら、ねえ・・・。
何のためかしらねえけど、ちょっと見てくる必要があるみてえだな?
やべw怒りのあまりに口調が変わってきたw
「・・・そいつらに居場所、わかるか?」
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