#13





皆が眠りにつく中、ヤヅキは眠れずにいた。
「・・・?」

ぐっすり眠っているシェイミを撫でながら、なんとなく辺りを見渡していたヤヅキの視界に黄色が見えた。
「あれ・・・」
何故か嫌な予感がしたヤヅキは、その黄色の跡を追うことにした。



「・・・特訓的な?」
この時、実はキバゴもついてきていたのだが、ヤヅキは気づいていない。

ズルッグが何をするのかと見ていると、大きい木の幹に頭突きを始めた。
・・・やっぱりそういうことか。

先ほど話していたことが頭に浮かぶ。

『サトシのポケモン達に負けたからショック受けてるのかな?』
『あ、それじゃね?』

デントの推測は間違っていなかったらしい。

しばらく傍観していると、後ろから物音が。
振り返ると、サトシたちが少し慌てた様子で走ってきた。

「どーした?」
「ああ、ヤヅキも一緒だったのか・・・」
どうやらズルッグを探していたらしい。

ふとズルッグの方を見ると、木々の向こう側から何かが来ていた。

「ッ!!(間に合う・・か!?)」
危険を感じ取ったヤヅキはサトシたちがどうしたのかと尋ねるのも無視して走っていった。

「あ、あれは!!」
「デンチュラだ!」
バチュルの進化系であるデンチュラがそこにいた。


「ズルッグ!!」
直ぐにデンチュラとズルッグの間に割って入ったヤヅキ。

「デンチュラ、こいつがお前の巣に頭突きしていたことに腹を立てたんだよな?済まなかった!!
謝るから攻撃しないでくれ!!」
デンチュラは相当お怒りのようで。

「ズルッグ、お前もだ」
今にも攻撃を仕掛けてきそうなデンチュラから目を離さずズルッグに言った。

「おい!!」
ヤヅキの言うことを聞き入れず、デンチュラに走っていった。

「ルッグ!!」
「ズルッグ!!」

デンチュラの電撃がズルッグに当たりそうになる刹那、ヤヅキがズルッグをかばうように飛び出した。

「ぐっ・・・!!!」
凄まじい電撃に顔を歪めるヤヅキ。

電撃が止まると、体が持ちこたえられなくなって
その場に倒れ込んだ。

「「「ヤヅキ!!」」」
「ぃ・・・った」
霞む視界に再び走っていこうとするズルッグが入った。

「よ、せ!」
そして、デンチュラは再び電撃を放った。

・・・畜生。
こいつには少し学ぶ必要があるようだ。
「・・・っ」
意識が朦朧としてきた。
デンチュラの電撃すげえのな。

最後に視界に映ったのは、こちらに走ってくるデントとアイリス、ズルッグを助けるサトシの姿だった。





「ヤヅキ、生きてるよな・・・」
「大丈夫みたいだよ。心臓も動いてたし。」←どうやって確かめたデント。
デントがサトシに言うと、安心した表情を見せた。

「とりあえず、ここじゃなんだから移動しましょ。私はしびれを取る薬草とかとってくるから、2人はズルッグとヤヅキをお願い!行くわよ、キバゴ!」
アイリスはキバゴと薬草探しに行ってしまった。

「とりあえず、2人を運ぼう。」
「そうだな。」
サトシはズルッグのトレーナなので、ズルッグを。
デントはヤヅキを運ぶことに。

「・・・どーやって運ぼう」
少し迷った後、横抱きにしていくことにした。
・・・俗に言う、お姫様抱っこ。
多分、ヤヅキの意識があったらすごく嫌がるだろう、性格から考えると。

少しレアな状況を少し楽しみながらヤヅキを運ぶのだった。








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