#12





「ピッカー!」
どうやら卵は無事だったようで。

「んッ、はー・・・つっかれたー・・・」
着地したその場に寝転がって酸素を取り込んでいたヤヅキの視界に3人の姿が映った。

「大丈夫?」
「何とか・・・」
アイリスの問いかけに曖昧に答えて起き上がろうとしてみたが、力が入らないw

「手、貸そうか」
「すまね、ありがとな。デント」
デントに引っ張り上げられてやっと起き上がれたヤヅキ。

(ヤヅキって軽い・・・)
簡単に引っ張ることができたヤヅキの軽さに少し驚いたデントだった。

(デントって力強いな。ま、男子だし当たり前か?)

つうかさっきのアレwwww
何アレww
どんだけ跳躍力あるんだwww

走り幅跳びかってのww
どんだけ飛べたし自分ww

その時、ピカチュウが持っていた卵が強く光りだした。
「お、生まれるのか?」
座ったまま様子を伺う。

卵に次第にヒビが入っていき、パッキィィン!と砕け散った。

「ズル?」
そこに姿を現したのは、黄色いポケモン。

ヤヅキはそいつの色をみて何故かからしを思い出したw

「これはズルッグだ」
「ズルッグ?」
デントは知っていたようだ。

サトシは早速図鑑を取り出して、ポケモンのことを調べ始めた。



「俺、サトシ!で、こっちがピカチュウ。よろしくな」
「ピッピカチュウ」
早速生まれたばかりのズルッグを囲んで自己紹介タイム。

「・・・何?自分もいうの?この流れ」
「いいから言えよ」

「ハァ・・・ヤヅキだ。」
「ミィ!」
「ズ〜ルッグ!!」
「みっぃ!?」
カラシ色のポケモンはいきなりシェイミに頭突きを仕掛けた。

「シェイミ、次は何とかして避けてやれ。あいつ多分悔しがるw」
「ミィ」
ヤヅキはシェイミと変な協定を交わしていた←

そして今度はピカチュウに睨みつけるをやったり、ほかの奴にも頭突きをやったり・・・

それをバトルしたがっていると受け取ったサトシはピカチュウとズルッグでバトルをすることにしたらしい。

「・・・生まれたばっかなのにw キチガイ的な?」
「それは違うんじゃないの・・・?」
なにげなく呟いた言葉にアイリスが反応した。


シェイミを転がしたり撫でたり足を上下させたりして遊んでいる内にバトルは終わっていた。
ちらっと見ていたけど、レベルの差がありすぎて、どの技も効いていないようだった。
まあ当たり前か。
卵からかえったばかりなんだから。




夕方になり、夕食を食べる皆。

「ズルッグ、皆と食べようぜ」
「ズ〜ル」
しかし、ズルッグは食べようとぜずに

まだ馴染めてないだけか?
「あの子は何を考えてるかわからないわね」
「サトシのポケモン達に負けたからショックを受けてるのかな?」
「あ、それじゃね?」
アイリスとデントのやり取りを聞いていてなんとなくそれだと思ったヤヅキ。

まあ、生まれたばかりだからとは言え、勝てないのは悔しいかな。




「ズルッグ」
「ズル!?」
夜になっても何も食べようとしないズルッグに、ポケモンフーズを持っていったヤヅキ。
ズルッグは岩陰でボケっとしていた(?)

「何もしねえよ」
苦笑しつつポケモンフーズをズルッグの前に置く。
「何か食って力つけとかねえと、勝てる奴にも勝てねえぞ??」

やっとポケモンフーズを食べた、と少し安堵するサトシ。
「素直に食べればいいのに」
だよね。
それは自分も思った。

アイリスのつぶやきを聞きつつ、ズルッグが食べていく様子を見る。

「ズルッグ、お前もそろそろモンスターボールに」
と、サトシがモンスターボールを片手に近寄ると、ズルッグはまだ外の世界に居たいためか、首を横に振った。





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