#8



「・・・ふう」
一息ついて本をパタンと閉じた。

シェイミは暇そうにいろんなところを歩き回っていた。

「シェイミ、おいで」
「ミ!」
手を差し伸べてやれば、飛びついてくる。

「見つかんねェ」
ヤヅキの傍らには、既に何十冊の本が積み上げられていた。
得意の速読を使って、読みまくったのだ。


「・・・シェイミって、俺が異世界から来たの、知ってるよな?」
「ミ・・・」
出会ったすぐあと、アララギ研究所に向かった時の会話を聞いていたシェイミはヤヅキの事を知っていた。

「・・・何とかしてシェイミたちと一緒にいられるようにするから。」
シェイミを少し軽めに抱きしめた。

[ミィだって・・・ヤヅキと離れたくない]
「自分も」
[パルキアに頼んだら、居させてもらえるのかな・・・]
「パルキア?」

聞きなれない単語が飛び出した。

[ミィの故郷の神様と言われている存在。空間を操ることができるんだって]
「マジで・・・!?んじゃ、パルキアに会えば、ここに居させてもらえるかもじゃん!!ありがとうシェイミ!!」
「ミィッ!?」
急に強く抱きしめられたシェイミは少し苦しそうにもがいた。

「あ、悪い。でも、今は情報が少なすぎる。目的地とか、色々はっきりしてきたら、パルキアんとこ、行こう。」
[ミィも行くからね!!]
「・・・ありがと」


そして再び気合を入れて資料を漁るヤヅキだった。


そして探し続けること・・・

「おや、まだ調べ物していたのかい?」
「あ、はい。でも見つからなくって・・・」
微苦笑をw漏らすヤヅキ。

「すごい量ですね・・・これすべて読んだんですか?」
積み上げられている本を見てキダチが呟いた。
「え、まあ・・・。」
キダチと会話していても、ヤヅキは本のページをめくる手を止めなかった。

「・・・ヤヅキ、それ読めてるの?」
「読めてます。」
サトシからの質問に淡々と答えると、本に集中し始める。

「・・・これも外れ、か。」
「さっきから気になっているんだけど、何を調べているんだい?」
「ん〜・・・言いにくいから言わない」
デントからの質問は咄嗟にごまかした。

「良かったら、手伝うよ?」
「いや、大丈夫。シェイミからいい情報ゲットできたしな」
ちらっとシェイミに視線を送ると、嬉しそうに笑っていた。

笑い合う2人に首をかしげる皆だった。

「おっと、わすれるところだった。サトシとのジム戦はすんだよ。次はあんたの番だよ、お嬢ちゃん」



そして、本棚の仕掛けを作動させてフィールドへと向かった。
「・・・こうなってたんだ」
「あたしも驚いたわよ」

そうか、自分以外はもうこっち来てたんだ。
資料探しに夢中で気づかなかった。

「じゃあ、始めようか」
アロエの一言で場の雰囲気が変わった。

「じゃ、あたしがどのポケモンを使うのか見せてあげるよ。
アンタとのバトルに出るのはこのポケモン達だよ」

そう言って、2つのボールを宙に投げた。
出てきたポケモンを図鑑で調べると、ミルホッグとヨーテリーと言うポケモンらしい。

「・・・ノーマル、か。」
(それならロトムとか良さそう・・・でもなあ;)

「んじゃ、誰が出る?」
「ミィ!!」
「・・・シェイミと、あと一人ー」

その時、3つのボールの中で、一つが揺れた。

「んじゃ、これでいいんだな?」

再び小さく揺れるボール。
というわけで・・・今回はシェイミとロトムで行こう。
「先に出たい人ー」
「ミィ!」
・・・ロトムは後でいいっぽい。

「決まったかい?」
「ええ。バッチリ。」

「それじゃ、はじめるとしようか!」





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