#7







「アロエさん」
「なんだい?」
アロエさんにサトシが話しかけた。

どこか不思議そうな顔をしながら。

「バトルフィールドはどこなんですか?」
「とてもあるようには見えませんけど・・・?」
「確かに、ね」
サトシとデントのつぶやきに同意するヤヅキ。

「すぐにわかるよ」
アロエさん曰く、すぐわかるということ。

「ここは?」
案内された部屋には大量の本が。
「貴重な本や研究書ばかりを集めた書庫だよ。閲覧にはあたし達の許可がいるのさ」
「ここの蔵書の数はイッシュ地方一。イッシュ地方の事なら歴史も文化も全てわかるのです」

キダチが言った。『歴史も文化もすべてわかる』と言う言葉にヤヅキが反応した。

「・・・すみません。どうしても調べたいことがあるんです。ここの資料、使わせていただいてもよろしいでしょうか」
「・・・わかった。そこまで真剣な顔をして頼むってことは、相当大切な事なんだね?」

「はい・・・。自分のこれからに関わるかもしれないので」
と、そこまで言って言いすぎたことに気づいた。
慌てて口を手で塞いだ。

「・・・何か隠しているね?」
「・・・(やべえやべェやべェやべェ)」
「はあ・・・喋りたくないのなら、無理に聞かないから安心しな」
「・・・はい」

アロエさんで良かった。
これがあいつとかだったら・・・※ベル
絶対に質問攻めにあってたな。

「んじゃ、調べたいことがわかったら、これを読んでみな?あたしのおすすめだよ」
「分かりました。アロエさんのおすすめなら、間違いはなさそうです」
それでは、と踵を返して資料探しをはじめるヤヅキだった。


そして、資料の題名を見ていくこと数分。
「ああー!!ええいジム戦のためだ!!
こうなったらなんでも読んでやるーー!!」


「・・・よし、あいつを襲撃しに行くぞ」
「ミィ」
シェイミと頷きあって、どこからか取り出したサッカーボールを持った。

「サトシうっせえんだよー静かにしやがれー」
「痛ッ!!!」
棒読みでサトシに注意して、あいつの背中に本気の一撃を叩き込んだ。

某名探偵のような感じで。

「ったくうるせえんだよ。こういうところでは静かにしなきゃいけねえことぐらい分かってんだろ?まだ蹴りを入れなかった俺に感謝するんだな。」
サトシは、甲冑の頭を蹴り落としていたヤヅキを思い出し、少し青くなった

言いたいことを言ったヤヅキは再び資料探しに没頭するのだった。

「・・・絶対赤くなってる」
「だろうね・・・」
若干涙目のサトシ。
同情の念をアイリスが送っていた。

「うん、あの子はあたしの思った通りの子だね」
「そういえば、サトシは直球だって言ってましたけど、ヤヅキはどんなタイプなんですか?」
アロエの言葉に疑問を投げかけるデント。

「そうだね・・・ちょっと表しにくいね」
アロエが唸りながら考える。

「ポケモン思いで、とても優しい子。デスマスの件がいい例だ。あの子はいち早くデスマスの存在にも気づいていたしね。何か特別なものを持っているのかも。」
それと、と言葉をつなぐアロエ。

「甘え下手と言うか・・・人にたよるのがとことん嫌いなようだね。見た感じ」
それは思い当たる部分があった。
「そういえば、ヤヅキってポケモンの言葉、理解できるわよね」

「おや、そうなのかい?それはすごいね。」
「ヤヅキって、謎が多いよね。出身地とか、色々わかんないし・・・この前まで男の子だと思ってたし・・・」
「え!?女の子だったんですか!?」
アイリスの言葉に引っかかったキダチが驚きの声を上げる。

「・・・気づいてなかったのかい?あの子は女の子だよ。」
「えええ・・・気づきませんでした」

「え、ちょっと待ってください」
そこにデントが割って入った

「アロエさん、わかったんですか??」
「ああ。直ぐにわかったよ」

アロエさんより長く共にいるのに、気づかなかった自分たち。
アロエさんってすごいと3人が思った瞬間だった。






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