#5



「荒ぶる魂の正体は貴方なの!?」
「いや、低周波か磁場の変化によって・・・っていうのも無理が出て来たな;」

骨はヤヅキ達の方へ歩いていき、攻撃するかと思ったらケースを叩き始めた。
「ヤナップ!タネマシンガン!」
咄嗟にヤナップを出して指示をするデント。

「ナップ!!」

骨格標本に当たったタネマシンガン。
その時に、半透明の何かが現れてゆっくり落ちた。

「・・・あれか!」
早速近寄って何かを確かめる。

「・・・お前だったのか?」
「マス〜」
「・・・ちょっと待ってて。マスクを出してもらうから」
「マス!」
嬉しそうな様子のポケモン。
ヤヅキは微笑みながらその場を離れた。

それと同時に標本がガラガラと崩れた。

「今、声が聞こえなかったか?」
「だとしたらそれが荒ぶる魂の声かも!」
さっきのポケモンの声が聞こえていたらしいサトシ達。

「・・・あー!もうなんでもいいんで、早くケース開けてください!」
「は、っはい!!」
ヤヅキの気迫に押されてショーケースを開けることにしたキダチさん。

ショーケースが開いた瞬間、マスクがふわっと浮き上がり、飛んだ。
そして、あろうことかデントの顔にひっついてしまった。
そりゃあもうぴったりと。

「ひぃ!!」
「デント!!?」
急いでデントに駆け寄り、マスクを引き剥がそうとする3人。

「だめだ!ひっついてやがる!!」
そして、アイリスとサトシは突き飛ばされた。

「・・・あれ?ヤヅキ!?」
「どうなってるの、これ」
ヤヅキは突き飛ばされず、人質にでもされるかのように首に腕を回されていてた。

「やばいってこれ。力入れられたら窒息する」
「ヤヅキ!早くこっちに!」
「そうしたいんだけど、抜け出せない!」

もがいてみるも、全くの無駄だった。
・・・自分、何かやったっけ;

そんなことを考えていたら、腹部にも手が回された。
「罰を・・・」
「!?」
うっわあ、デントに何か降りてきてるよこれ。

絶対何か入ってるよ。

「受けるがいい!!」
デントの手から、火の玉が放たれた。

「どうしちゃったんだよデント!!」
うん、それは自分もすっごく聞きたいかな。

「ひとまず、離してくれない?君」
「・・・いや、だ」
「嫌じゃなくて・・・ッ」
マスクがヤヅキに頬ずりした。
あくまで、マスクが。


「・・・ヤヅキ、荒ぶる魂に気に入られるようなことでもしたの?」
「・・・心当たり、ある」
「それだ!」

「って言うかいい加減に気づいてくれないかな君たち!!マスクは」
「「本物だって!!」」
ヤヅキの声に誰かの声がかぶった。

「ママ!!いいところに帰ってきてくれました!!」
「じゃあ、貴女がアロエさん?」
「ああ!!それよりそのマスク、どっから持ってきたんだい?」

一番聞きたかったことをアロエさんが聞いてくれた。

「え?それは・・・昨日の夜、展示品の遺跡を運んでいる時にこのマスクが落ちているのを見つけて・・・レプリカはデスカーンしか頼んでなかったけど、サービスでこのマスクも作ってくれたのかなぁ・・・?なんて」
「そんなわけないだろう!!」
「ですよね」

あきれて物も言えないヤヅキ達。
その間に崩れていたカイリューの骨格標本が戻った。
「もうおよし。お仕置きは十分にしただろう?」
マスクは小さく唸るだけであった。

「ぐ・・・!?」
「どうしたの!?」
「たッ・・・」

激しい頭痛に襲われるヤヅキ。
「い、あッ・・・」
すぐにでも頭を抑えたいが、体の動きが制限されていて、腕を動かすことすらできない。

痛みに耐えているうちに、デントはマスクから解放されていたようで。
「あれ?僕どうしてたんだろう・・・って、ヤヅキ!?大丈夫!?」
自分が抱えていたヤヅキの状態に驚くデント。

「あは、は・・・大丈夫、って言いたいところなんだけどね・・・頭痛が」
さっきよりは幾分か弱くなったが、まだ続いている。

デントから剥がれたマスクは中に浮き、ポケモンが姿を現した。
「デース」
「・・・はは、やっと本当の状態で会えたな」
黒っぽいポケモンの頭を撫でる。

隣にいるデントは状況が飲めていないのか、ポカンとしていた。
「あれ?頭痛・・・」
気がついたら頭痛が収まっていた。

さっきまでの痛みはどこへやら。





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