#2



「・・・祟り??」
背中に冷たいものが走るのがなんとなくわかった。

じつはヤヅキ、こういったホラー系の話はあまり好きではないのだ。
好きではないだけで、一応大丈夫ではあるのだが。

「荒ぶる魂がこの博物館に災いをもたらそうとしているわ!!」
「え?災い・・・ですか?」
「キババババババ!」
「ほらね。キバゴもそれを感じ取ってる」
「いや・・・アイリスの言い方にビビっただけじゃね?」

ヤヅキがそう言うが、アイリスには聞こえていないようで。

「このまま放っておくと大変なことになるわ!!」
「大袈裟だなぁ・・・。そういう超常現象って大体は思い込みか勘違いなんだ」

「勘違いですって!?」
「科学的に調べれば本当の原因がわかるはずだよ」

急に張り合いを始めた2人。
「・・・めんどくさ」
そんな2人を見たヤヅキは今回の一件はめんどくさくなることを予想した。



ジム戦はジムリーダー自体が出張中でできないことが明かされ、博物館の謎を解く手伝いをする羽目になったヤヅキ達。

・・・そのうち2人はかなり乗り気だけど。


簡単な自己紹介を済ませ、男性の名前はキダチというのが判明した。
「珍しいですね、シェイミを連れているトレーナーなんて」
「そうですか?」
「まずシェイミ自体が珍しいから;」
こんな会話があったとか。


「まずはざっくりと館内を案内しますね」
博物館に戻ってきた一行は早速館内の探索を始めた。

「こうらポケモンのカブトは、3億年前から砂浜で暮らしていたと考えられています」
「へぇー、そんなに前から」
サトシが感嘆の声を漏らす。

そこから少し離れた場所には、大きなポケモン(?)の骨格が展示されていた。
「これ・・・なんだろ」
「わかった!カイリューじゃない!?」

「よくわかりましたね。こちらはカイリュウの骨格模型です
これまでに確認された中でもっとも大きいと言われるものを模型にしたんです」
流石ドラゴン好き・・・。
骨格で何かを当てやがった。


「続いてはこちらです。この石はすごいですよ〜
なんと隕石です」
キダチが得意げに話す。

「隕石!?」
「宇宙から降ってきたのか・・・」

「えぇ。ですから何かしらの宇宙エネルギーを秘めているはずです」
「宇宙エネルギー・・・かあ。すごそう」
「ミィ・・・」
「確かに凄そうだ」



「・・・はあ」
ヤヅキはシッポウシティについてからためていた息を吐いた。

流れ、と言うか、巻き込まれたというか・・・・


少し前に遡る
館内の案内をしてもらったヤヅキ達だったが、特にこれといったものはなかった。
「・・・何か、ポケモンが居そうな雰囲気がした」
「ポケモン?シェイミののことじゃないのかい?」
「いや、違う・・・。」

そこで、デントがとんでもない提案をした。
「あの、キダチさん。このまま博物館に泊まってはダメですか?」
驚きの声をあげるキダチに、「夜の方が超常現象は起きやすいですから」と言うデント。

「そうね・・・。荒ぶる魂は真夜中に動き出すことが多い。」
祟りの原因を調べるのにはちょうどいいかも、と言い出すアイリスにヤヅキは落胆した。

「・・・もうヤダ」
夜の博物館とか、嫌な予感しかしない。

「皆さん子供なのに勇気がありますね・・・。感心します」
「子供なのはこの子だけです」
と言いながらサトシを示すアイリス。

「な、なんだよそれ!」
「つーか、んなこと言ったら自分もじゃね??」
年齢的には子供に分類されるしね。一応。

そして、そのまま博物館で一夜を明かすことになって今に至る。
「ああ・・・もう」
頭をかき乱すヤヅキだった。









[*prev] [next#]

2/23




戻る
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -