#8



デント達と合流した頃には、イシズマイと番長の戦いが始まっていた。

番長は、イシズマイの家を盾にして、イシズマイが攻撃しにくくしたり・・・。
とりあえず、卑怯な手を使ってきやがった。

イシズマイが石を当てられて撃ち落とされるが、直ぐに立ち上がった。
やっぱり、1対1だと戦えるじゃねえか。

イシズマイは道幅が狭い岩場に番長を誘い込んだ。
番長は多くの岩を背負っていて、かなりでかいため、入り口あたりにひっかっかってしまった。
それを待っていたかのように、イシズマイのシザークロスが決まる。

「シザークロスが決まった!いいぞイシズマイ!!」
イシズマイの戦いっぷりをみたサトシは興奮気味のようだった。

攻撃に成功したのだが、番長はまだ倒れるに至らなかった。
攻撃を受け、倒れるイシズマイ。

その時、イシズマイが赤く光った。
「イシズマイの殻を破るだ!」
「防御を捨て、攻撃をあげる技よ!」

どんどん熱狂していくデント達。

・・・もう少し静かに見守ってあげなよ;
まあいいけど。

攻撃力が上がった状態でのシザークロスは、番長の家を砕いた。
そして、イシズマイ家だけが残った。

それを見た番長はすぐさま逃げていった。


「やったわよイシズマイ!」
「家を取り返した!!」
「自分の力で、よくやったぞイシズマイ!」
「イマ!!」


イシズマイが家を取り戻すのを見届けたヤヅキ達は、次の街に向けて旅を再開しようとしていた。


「それじゃあ、イシズマイ。僕たちはもう行くから」
「元気でな!また会おうぜ!」
「もう家を取られないようにね」
皆が口々に別れの言葉を告げる中、ヤヅキは何も言わなかった。

「ヤヅキ、いいのか?」
「ふふ・・・いいんだ」
サトシが不審に思い、問いかけてみるがヤヅキは柔らかく笑うだけだった。

「イマ、イーママ!!」
「? どうしたんだい?イシズマイ」
わかっていない様子のデントに、通訳をしてやる。

「・・・連れてって欲しいんだってさ。」
「そうなのかい??」
「イマ!!」

デントは少し考えた。
「なるほど…自分の力で家を取り戻すどっしりとした味わい、熱を出したヤナップを看病した優しいフレーバー。確かに僕にぴったりのポケモンだ。ようし、一緒に行こう!!」

デントが投げたモンスターボールに自ら入るイシズマイ。


新たな仲間と共に、旅を続けるのだった。




シッポウシティへの旅の道中。
道を歩いていると、前の方から子供の騒ぎ声が聞こえてきた。

「・・・?」
よく見てみると、三輪車に乗った、5人ほどの子供がいた。

「ガキの後ろにあるゴミ袋が動いてる・・・」
「あれはポケモンだよ」
「そうなの?」

デントとそんな会話を交わしていると子供たちがかなり近づいてきていた。

「皆ー!!止まりなさーい!!」
「その子達を止めてくれー!!」
子供の後ろの方に、2人の人がいる。

「え」
状況が飲み込めず、声を漏らす一同。

「・・・まあ、止めりゃあいいんだろ?」
手の関節をポキポキと鳴らしながらヤヅキが言った。

「ぜんぽうにてきをはっけん!こうげきじゅんび!」
「らじゃー!」
数人の子供たちが返事をした。
・・・なんだこれ、ただの戦隊ごっこか?

と思いながらも様子を見ていると、どこからか泥団子を取り出した。

「・・・まさか」
あれを投げる気じゃねえよな・・・。

「どろだんごばくだん、はっしゃ!」
「はっしゃ!!」
ヤヅキの考えたことを実行するかのように子供たちが泥団子を投げた。

「よッ!!」
アイリスはさすがというか、余裕で避けていた。

「世話が焼けるねえ」
デントとサトシは動けておらず、泥団子が当たりそうになっていた。
2人を横に押してなんとか回避させる。
・・・勢い余って倒れ込んだけど;

「ふう。ギリギリ」
「た、助かったよ・・・」
「ちゃんと反応しろよ。サトシも」
「お、おう」

ヤヅキはシェイミを一旦下ろしてさっと立ち上がると、子供の方を見た。
「こうげきせいこー!」
「してねえよ、ガキが・・・。」

一人の襟を掴んで持ち上げた。

「何やってやがる?人には迷惑かけないって、親に教えてもらわなかったのか??」
子供の襟を掴んで逃がさない用にしながら呟く。

「たいへんだ!なかまがてきにつかまったぞ!!」
「こうげきじゅんび!」

再び泥団子を構えるガキ共。
その時、ヤヅキの目が鋭くなった。





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