#5



「ヤヅキって・・・実はすんごく強かったりする・・・!?」
「え??何か言った?」

バトルを終えて、ポケモンセンターに寄ったヤヅキ達。
話題の内容はもちろん、先ほどのバトルのことだった。

「ほぼノーダメージだったし、瞬殺っていうか、すっごい速さで勝敗ついてたけど・・・」
「分かんねえな。でも、バトルしたの、人生で2回目くらいなんだけど。」
トリップしてくる前にゲームでやったかもしれないけど・・・。

でも、ゲームとこっちではかなり差がある。
1ターンずつしか指示を出せないゲーム版と、実際にバトルすることにはやはり差が出る。
素早い状況判断が必要だしね。

「・・・ちょっと待って?2回目ってどういうことよ!?」
「え?何が?」
「バトル!人生で2回目って・・・!?強い人のバトルとか見て、参考にしてたの!?」
「そんなめんどくせえことしねえよ。アイリス・・・言っとくけど、俺が強いんじゃなくて、ポケモンたちが強いんだからな?そこんとこ、勘違いしないように!」
最後の方は少しおどけてアイリスに言った。

アイリスはこれ以上聞いても、期待した答えは帰ってこないだろうと思ったらしく、それ以上は言及してこなかった。

シェイミ達はほぼノーダメージだったので、そのままヤヅキのそばにいた。

「・・・バチュル、大丈夫か?」
未だにボールから出したままのバチュル。

先程から顔色(?)が優れないようで。

「とりあえず、モンスターボールで休んどくか・・・?」
「バチュー」
「そか。わかった。」

もう少し外に出ていたいらしい。

「まあ、離れなければ好きにしてていいからな。」
「バチュバチュー」
小さいなあ・・・バチュルは。

ある意味癒し??

「ミィミ?」
「バチュー」
自分の頭にシェイミが乗って、その上にバチュルが乗った。

しばらくこの体制で行きますか。
頭結構重いけどw





只今ランチタイム。

・・・だが、ヤヅキは皆の所を離れて、散歩をしていた。

「イマー」
「ん?どうしたんだ?お前。」

少し小さめの岩に腰掛けていたヤヅキに、岩を背負ったポケモンが声をかけた。
話を聞くと、ヤヅキが座っている岩を使いたいらしい。

「ああ、いいぞ。」
はい、とその上を退く。

「これを使って何をするんだ?」
「イマー、イマイマ!」
「なるほどね・・・家を作るのか。見ててもいいか?」
「イマ!」

ヤヅキは知らないが、イシズマイというこのポケモン。
石をくりぬいて家にするポケモンだった。





「・・・あれ?ヤヅキは?」
昼食の準備が出来たデントが、ヤヅキがいないことに気づいた。

「あれ・・・本当だ、いないわね」
既に昼食に手をつけているアイリスとサトシ。

「キ?キバ??」
その時、キバゴが何かを感じ取って茂みの中へと走って行ってしまった。

「キバゴ、どうしたの??」
急に走っていったキバゴを追いかけるピカチュウとサトシ達。

キバゴは岩の影から何かを覗いていた。
ピカチュウも習って覗いた先には、イシズマイとヤヅキがいた。

「へえ・・・これをくりぬいて」
「イマ」

ヤヅキとイシズマイが会話してる所に、デントたちも到着した。
「ピカチュウ、どうした?」
「ピカ!」
「あれ?ヤヅキッ!?」

「・・・と、イシズマイだ。岩を背負ってないのは珍しいな」
早速図鑑を出して調べるサトシ。



「こんな珍しい所を見られるなんて、ラッキーだ!」
「でも、もっとラッキーな奴があそこにいるけどな」
「・・・確かにね」

イシズマイが岩をくり抜く作業を黙って見守るヤヅキと、その肩に乗っているシェイミ。


「お、ちょうどいいくらいになったか?」
ヤヅキがイシズマイに問いかける。
「イマー」
「もうちょいか。大切な家だからな。ちゃんと作っておかないと。」


最終チェックを終えたイシズマイは嬉しそうに岩を背負った。
「完成か!おめでとう!」
「イマ!」
「ん?ああ・・・別に、自分はあれに座ってただけなんだし。お前が見つけたんだから。」

じゃあ、と別れてデントたちの所に戻ろうとしたヤヅキだったが、背後に不穏な空気を感じてふと振り返った。





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