#18
35,36
キバゴの龍の怒りは、失敗(?)したようで、辺りを巻き込んで爆発した。
その時ヤヅキのポケモン達は「嫌な予感って、このことか」と納得していた。
「げほッ、大丈夫?」
[ヤヅキこそ、大丈夫?]
「自分のことはいいから。特に被害は出てないと思う。」
見ると、ヤヅキの腕やズボンなど、所々が黒くなっていた。
「まあ、被害が出たのは自分たちだけじゃないみたいだよ。ほら」
と、ヤヅキはサトシたちの方を指差した。
[ホントだ、真っ黒!]
いかにも面白そうにロトムが笑った。
「何があったのか、聴きに行きましょうか」
「はあ〜、うまくいかないのよね〜龍の怒り。」
アイリスの悩ましげなため息と言葉。
先ほどの技がうまくいかないことについて、悩んでいるらしい。
「龍の怒りと言うよりも」
「龍のくしゃみだね」
「それだッ!!じゃあこれからはさ“りゅうのくしゃみ”って指示を出せばいいじゃん」
「くしゃみじゃなぁーい!!あたしこれでもすっごい真剣に悩んでるんだけど!?」
この2人にはちょっとお灸を据えたほうがいいかな?
というわけで、そろりそろりと2人の背後に忍び寄る。
アイリスとロトム達が気づいてこちらを見たが、「Shh-」と黙っておくようにジェスチャーをしておいた。
後ろから2人の肩をがしっと掴んだ。
これでも、握力そこそこあるので。
「2人とも?」
とびっきりの笑顔で話しかける、
「人が真剣に悩んでることまでもからかうつもりかな??」
ギギギ、と効果音がつきそうな様子でこちらを見る2人。
少し青い顔をしている。
「流石に悩んでることをからかわれたら傷つくことくらい、わかるよな?」
満面の笑みでそう告げた。
「「すみません」」
「違うってアイリスに謝れよ」
体を直角に折り、頭(コウベ)を下げた2人。
見ていてとても面白かった。
満足です。
先ほどのことから少し経ち、また龍の怒りの話になった。
「なぁ、他の技は覚えてないの?」
「うん、ひっかく攻撃と龍の怒りだけ。
普通りゅうのいかりといえばエネルギーの塊を発射して相手にダメージを与えるでしょ?
でもこの子の場合は違うの。なぜかいつもエネルギーが暴発しちゃうのよ。
それでね、始めのうちはじっくりゆっくり一緒に旅して、いろんな経験をしていこうと思ってたんだけどね……。はぁー……オノノクスまでの道は遠いなぁ」
「でもさ、さっきの爆発で思ったんだけど、あれってかなりのパワーがあるだろ?だから成功したらすげえ強力な技になると思うんだよね、自分。」
バトルしていた場所はでかいクレーター状の凹みが。
これを食らわされたら、ひとたまりもないだろう。
「自分の意見としては、成長スピードは人間が一人で立てるようになる時期が違うように、個人差のような物がきっとあるとおもうんだ。んで、キバゴはゆっくり成長していくタイプなのかも。
だから、気長にやってみなよ。自分も、手伝えることは手伝うから。」
「……ありがとう」
その時、キバゴが自分の牙に木の実を刺して持ってきた。
「へえ〜、牙を器用に使うんだね」
デントが感嘆の声をあげる。
キバゴから木の実を受け取ったアイリスは早速食べ始めた。
「おいしい!ありがとうキバゴ!!」
褒められて、頭を撫でてもらえたキバゴはとても嬉しそうだった。
更にシェイミもキバゴを褒めたらしい。
仲良く飛び回っている。
「褒めてもらえたのが嬉しいんだろうね。きっともっと持ってくると思うよ」
その言葉を実行するかのように、キバゴは森へと入っていった。
それにシェイミやピカチュウ、バチュルにロトムもついていった。
「あまり遠くにいっちゃダメよー!!」
アイリスの言葉を背後に聞きつつ、かけていくポケモンたちだった。
あー、またなんとなぁく嫌な予感がするわー。
なんでだー?
少し離れたところで考え事をしているヤヅキを見た3人は首をかしげたのだった。
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