#18



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キバゴの龍の怒りは、失敗(?)したようで、辺りを巻き込んで爆発した。
その時ヤヅキのポケモン達は「嫌な予感って、このことか」と納得していた。

「げほッ、大丈夫?」

[ヤヅキこそ、大丈夫?]

「自分のことはいいから。特に被害は出てないと思う。」

見ると、ヤヅキの腕やズボンなど、所々が黒くなっていた。

「まあ、被害が出たのは自分たちだけじゃないみたいだよ。ほら」

と、ヤヅキはサトシたちの方を指差した。

[ホントだ、真っ黒!]

いかにも面白そうにロトムが笑った。

「何があったのか、聴きに行きましょうか」



「はあ〜、うまくいかないのよね〜龍の怒り。」

アイリスの悩ましげなため息と言葉。
先ほどの技がうまくいかないことについて、悩んでいるらしい。

「龍の怒りと言うよりも」

「龍のくしゃみだね」

「それだッ!!じゃあこれからはさ“りゅうのくしゃみ”って指示を出せばいいじゃん」

「くしゃみじゃなぁーい!!あたしこれでもすっごい真剣に悩んでるんだけど!?」


この2人にはちょっとお灸を据えたほうがいいかな?

というわけで、そろりそろりと2人の背後に忍び寄る。
アイリスとロトム達が気づいてこちらを見たが、「Shh-」と黙っておくようにジェスチャーをしておいた。

後ろから2人の肩をがしっと掴んだ。
これでも、握力そこそこあるので。

「2人とも?」

とびっきりの笑顔で話しかける、

「人が真剣に悩んでることまでもからかうつもりかな??」

ギギギ、と効果音がつきそうな様子でこちらを見る2人。
少し青い顔をしている。

「流石に悩んでることをからかわれたら傷つくことくらい、わかるよな?」

満面の笑みでそう告げた。

「「すみません」」

「違うってアイリスに謝れよ」

体を直角に折り、頭(コウベ)を下げた2人。
見ていてとても面白かった。
満足です。

先ほどのことから少し経ち、また龍の怒りの話になった。

「なぁ、他の技は覚えてないの?」

「うん、ひっかく攻撃と龍の怒りだけ。
普通りゅうのいかりといえばエネルギーの塊を発射して相手にダメージを与えるでしょ?
でもこの子の場合は違うの。なぜかいつもエネルギーが暴発しちゃうのよ。
それでね、始めのうちはじっくりゆっくり一緒に旅して、いろんな経験をしていこうと思ってたんだけどね……。はぁー……オノノクスまでの道は遠いなぁ」

「でもさ、さっきの爆発で思ったんだけど、あれってかなりのパワーがあるだろ?だから成功したらすげえ強力な技になると思うんだよね、自分。」

バトルしていた場所はでかいクレーター状の凹みが。
これを食らわされたら、ひとたまりもないだろう。

「自分の意見としては、成長スピードは人間が一人で立てるようになる時期が違うように、個人差のような物がきっとあるとおもうんだ。んで、キバゴはゆっくり成長していくタイプなのかも。
だから、気長にやってみなよ。自分も、手伝えることは手伝うから。」

「……ありがとう」

その時、キバゴが自分の牙に木の実を刺して持ってきた。

「へえ〜、牙を器用に使うんだね」

デントが感嘆の声をあげる。
キバゴから木の実を受け取ったアイリスは早速食べ始めた。

「おいしい!ありがとうキバゴ!!」

褒められて、頭を撫でてもらえたキバゴはとても嬉しそうだった。
更にシェイミもキバゴを褒めたらしい。
仲良く飛び回っている。

「褒めてもらえたのが嬉しいんだろうね。きっともっと持ってくると思うよ」

その言葉を実行するかのように、キバゴは森へと入っていった。
それにシェイミやピカチュウ、バチュルにロトムもついていった。

「あまり遠くにいっちゃダメよー!!」

アイリスの言葉を背後に聞きつつ、かけていくポケモンたちだった。

あー、またなんとなぁく嫌な予感がするわー。
なんでだー?
少し離れたところで考え事をしているヤヅキを見た3人は首をかしげたのだった。





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