#14



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眠ってしまった様子のダルマッカにヤヅキが近寄った。

「……やっぱ寝てる?」

そう呟いたとき、ダルマッカ達は勢いよく飛び上がり4人の後ろに着地した。

「待ってくれダルマッカ!俺たちはバトルなんかしたくないんだ!」

「あたしたちは敵じゃない!」

「そうだって。お前らがなんで食いもん盗んでいくのかが知りたいだけさ。」

「そうなんだよ」

自分たちの言葉を聞いたダルマッカ達は梯子がかけてあった場所に移動した。

[上に行かせて!!]

「上?上に何かあるのか?」

[上に行きたいんだ!!]

「……わかった。どうにかして上に行こうか。」

「……あれ?もしかして、ヤヅキってポケモンの言葉わかるの!?」

「まあ」

デントに急に尋ねられ、少し吃驚しながらも答えた。
なんでわかるんだろう?
まあいいや。細かいことは気にしない方がいいだろうし?

「とりあえず、どうにかしてここを登ろうか。」

それで、まずデントがサトシを肩車的なのして上に登らせた。
それからサトシはツタージャを出してつるのムチでピカチュウ、ダルマッカ、シェイミと、順番に上げて行った。

「何とか上れたけど……暑くね?」

「確かに……」

そのことに気づいていた皆が呟く。

「まあ、登っていけばこの暑さの正体もわかると思うんだよね」

先に登っていったダルマッカを追いかけて階段を登っていった。
その先には、灰色?とりあえず、鈍色のポケモンだと思われるものがいた。
そのポケモンは、鐘の下でじっと眠っていた。

「このポケモンは……?」

サトシが図鑑を出して調べたところ、ヒヒダルマというポケモンだとわかった。
そして、もう1つわかったことは、体力が少なくなると、活動モードから瞑想モードというものに変わること。

「ダルマッカ達が一緒にいたっていうヒヒダルマか」

「確か、活動モードでは物理攻撃の技が強くなり、瞑想モードではエスパータイプの技が強くなるはずだよ」

デントの解説を聞いたアイリスは感心したようで、感嘆の声を上げている。

「へえ〜、不思議なポケモンね〜」

「多分、この暑さはヒヒダルマが熱を出してるからなんだろうね」

その間に、ダルマッカ達が盗んできた月見団子が宙に浮いた。

「これは。サイコキネシス?」

「そうか、ダルマッカはヒヒダルマに食べさせるために食べ物を盗んでいたんだ!」

「そして、サイコキネシスを使い続けたせいでヒヒダルマの炎袋の熱が外に漏れ出していたんだ」

「だから登ってきたとき暑かったんだ。」

妙に暑い部屋の謎が解けた。

「……でも、おかしいんじゃねえの?ヒヒダルマは体力が戻れば瞑想モードから活動モードに戻れるんだろ?じゃ、なんで戻ってねえんだよ?…………あ、ごめん原因わかった」

「え?」

皆が声を漏らす。
指をすいと持ち上げて、ヒヒダルマの頭上を指差す。

「あれだよ。時計塔の鐘」

そこに、ダルマッカ達が金属でできた棒のような物を持ってきた。

「これなあに?」

それを見たアイリスが疑問符を浮かべた。

「何かのフックみたいだ。」

「ああ……そういうことか。時計塔の鐘を吊り下げているフックじゃね?」

ほら、と再び上を指差すと鐘が浮いているのが確認できた。

「ここ、結構老朽化してるみたいだから、これが落ちたらかなり危ないんだろうな。……で、ヒヒダルマがなんかの技使って持ち上げてるってとこだろ。」

「この鐘が落ちたら床が抜けて時計塔自体が危ない
そのためにヒヒダルマは落ちてきた鐘を受け止めた
でも、鐘の重さに耐え切れずエスパータイプの技の強い瞑想モードになり、“サイコキネシス”で鐘を持ち上げていた」

デントが話をまとめ上げた。

「ダルマッカ達は、ヒヒダルマの体力が無くならないように食べ物をせっせと運んでたってことだな」

ヤヅキの言葉を肯定するダルマッカ達。
ダルマッカと和解していると、ヒヒダルマから熱が溢れ始めた。

「あぢッ!」

「このままじゃ、ヒヒダルマの熱で床が焼け落ちてしまう!!」

とにかく、フックを直してヒヒダルマを助けないといけない。
デントとサトシはそれぞれポケモンを出した。

「ポカブ、君に決めた!」

「ヤナップ、君も手伝ってくれ!!」

光と共に出てきたのは2匹のポケモン。

「ポカ!!」

「ヤナッ!」

「ポカブ!!フックに向かって“ひのこ”!!」

早速指示を出したサトシ。
ヤヅキは火の粉じゃちょっと無理があるかもしれないなあ、と思っていた。

「ダメか、火の勢いが足りない」

サトシが反省をしているとヒヒダルマから発する火の勢いが強くなった

「サトシ、ヤヅキ!!急がないと間に合わない!!」

その時、ダルマッカ達がヤヅキの前に立った

[俺らもやる!!]

「協力してくれるのか!サンキュ、頼むぜ!」

「ようし!!畳み掛けるぞ!!」

皆で一斉に炎技を放つ。

「・・・ダメだ!もうひと押し!」

「ロトーッ!!」

その時、さっき聞いたような鳴き声と一緒にどこからか炎が飛んできた。
それにより、フックは曲げやすい状態になった。





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