#5



9 大地の民

場所は移動し、モーモントの家へやってきた
部屋を水でベトベトにしてしまうおそれがあるので、シャワーを借りる事にした

サトシの服はもうほとんど乾いていた

「さむっ………冷えた」

水を吸っている上着を脱いで、下着だけになる
かるく絞るとポタポタと水が垂れた

「……あーあ」

「ヤヅキ、タオル借りた…か、ら………」

「っ…!?
で、デント!?」

「あ、えっと……ごめん!!」

なんつータイミングで入ってくるのさ
頼むよ
……あぁ、顔があつい

「……まぁ下着つけてたから、……タオルさんきゅ」

「う、うん
戻るねっ」

バタンと脱衣場の扉が閉まる
……風呂入ろ





「っ………あぁぁぁあぁ、」

脱衣場の扉に背を預けてずるずると座り込む
まさか、もう脱いでいたなんて思って無かった

あぁもう………ああああああああ!!!

なんか細かったし柔らかそうだったし肌色多かったし………うわあああああああ
顔赤くなってたし、なんか可愛……うわああああ

頭を抱えこんでとにかく心を落ち着けようとする
が、中から聞こえてくるシャワーの流水音に逆に緊張してしまう

「………離れよう」

よろりと立ち上がると、ふらふらと歩いて行くデントだった







「シャワーありがとうございましたー」

「あら、案外早かったわね?
熱くなかったかしら」

「丁度良かったです」

髪の毛をわしゃわしゃと拭きながら皆のいる部屋に戻る

「………何の本?」

「ヤヅキは聞いてなかったもんな」

「後で僕が話すよ」

そら助かる
興味もあるしな

大雑把に話を聞いていると、カリータ達一家の一族の話だったらしい


詳しい事はデントに任せましょうか


10 話

「で、モーモントさん達はここに住むことになったんだって
剣の城は元々あそこにあったとか…」

「ふむ………なかなか複雑だな…」

「うん、結構大変みたい………」

サトシ達がビクティニと遊んでいるのを眺めながら大地の民の話を聞いた
なかなか興味深い話だ

「………ん、寒
上着まだ乾かないかな」

「………あ、あの
さっきは………ごめんね」

「へ?………あ、」

思い出したせいでなんか恥ずかしくなる
あぁ………うん
うん………

「………ヤヅキ?
? え、えっと…どうしたの?」

「………なんでも、ない」

「!…顔真っ赤だけど大丈夫!?熱!?」

「……いや、違う
大丈夫、うん」

「冷やしたかい…?
ちょっと手、貸して」

デントに手を握られる
あ、暖かい
まだ日は沈んでないけど…寒いからな

「ヤヅキ、手冷たいね
冷えた?」

「……あぁ、多分
ちょっと寒い」

やっぱTシャツ一枚と短パンは寒い
あの上着、乾くの遅いんだよな…なんて考えながら腕を擦る

「うーん……よし」

「っわ、ででで、デント?」

座ったままデントと正面から抱きあう形になる
驚きすぎて、少しどもった
いや、ビビるってこれは

「少しはましかなって…どう?」

「っ……あったかいです」

「そうかい?ならよかった」

あ、なんだろうこの安心感
……あったかい

「……心臓の音聞こえる」

「あぁ……ちょうどそのへんだからね」

デントに頭を抱え込まれているおかげで小さくだが心音が聞こえてくる
等間隔で鳴るそれに、眠気がさしてきた

気づけば、そのまま眠っていた




「……ね、寝ちゃった」

くーくーと寝息を立てて眠るヤヅキを倒れない様に支える
でも、冷えていた体は少し温まった様だ
それに安堵しつつサラサラの髪をなでる

なで心地の良いそれに顔が緩む
くすぐったいのか、ヤヅキが僅かに身じろいた
起きるかな、と思ったけどそのまま寝ちゃった

「………ふふっ」

なんかこっちまで眠くなっちゃった
一緒に、寝させてもらおうかな



その後、草の上で寝転がり、すっかり眠っている二人を見つけたジャンタが毛布をかけたとか。





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