小説 のコピー | ナノ
やっぱりモテる奴っていうのは馬鹿みたいにバレンタインにはチョコレートをもらう。
見るからに本命チョコなそれらは当たり前だが一日で消化できるわけはなく三日経った今も、まだまだ残っていた。

「うげ…」
「手伝ってよ…」
「無理。飽きた」

タクマ宛ての大量のチョコ消化に最初は嬉々として荷担していたが、もう駄目。甘ったるい匂いさえも頭に響く。

「お前、毎年こんな感じなの?」
「あー…、うん、まぁ」
「イケメンもイケメンなりにツラいんだな」

まぁ、だからといって羨ましくないわけがない。
俺は妹から失敗作のチョコをお情けでもらっただけだというのに。

「……ずっと思ってたんだけど」
「うん?」
「嫉妬とか、してくんないの?」

情けない顔してタクマが尋ねてきた。

「嫉妬?なんで」
「なんでって…」
「だってお前、俺以外に興味ないじゃん」

チョコもらう時も表情は苦々しかったし、俺の方ばっかり気にしてたし。

「トモって、サラリと恥ずかしいこと言うよね…」
「恥ずかしいのはタクマの方だろ」
「え?」
「……この前、バレンタインの日に。お前なんて言ったか覚えてる?」
「…えー…、なんて言ったっけ」
「……"俺のバナナにチョコかけてモグモグして"って。…今だから言うけど正直、ひいた」
「!でも、ちゃんとモグモグしてくれたじゃん!!」
「そういう問題じゃねぇし、ばか!」
「じゃあ、もう一回やろ」
「は?なんでだよ!」
「トモが恥ずかしい奴って証明してやる」
「あ"?意味わかんね―――って、ちょ、ま!!」

この後、タクマに変態じみたセリフを言わされまくったのは二度と思い出したくない。

おわり




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