小説 | ナノ
 ぬちゅぬちゅ、という音が倉庫に響いて晋汰は思わず乾いた唇を舐める。そして一旦、足の動きを止めてズボンと下着を脱いだ。もちろん、脱いでなかった片方の靴も靴下も脱ぐ。
 その様子を光樹を固唾を飲み込んで見ていて、晋汰は鼻で笑った。

「っん」

 そして、自分の人差し指と中指を念入りに舐めると寒さか、期待のためか、ひくひくとひくつくアナルへと迷いなく挿入した。

「あっ……ん、あぁ」

 ぐちゅぐちゅ、と中を掻き回すように動かせばたまに指が前立腺をかすめて、あられもない声があがる。
 見せつけるようにして、足を大きく開けて、前立腺にフィットするように指を動かし、さらに自分のペニスを激しく扱けば、目の前がチカチカする。

「あう、あっあっ、んあ、はっ、ふ」

 とにかく、快感だけを追って手を動かす。もう少しで、っていうところで光樹の切羽詰まった声が響いた。

「っ晋くん! ねっ、い、いれさせて?」

 晋汰が手を止めて目をやると、びきびきにペニスを勃起させた光樹が目を潤ませながら、うっとりとこちらを見ている。その様は、餌をねだる犬のようで晋汰は笑いたくなったが、堪えて、嫌そうな顔をした。

「嫌」
「っ!! 晋くん! お願い! 勝手に動かないからぁ……」
「嫌なもんは嫌。ゴムもねーし」
「中に出さないから! ね、ね。良いでしょ?」
「……」
「じゃ、じゃあ、先っぽ!先っぽだけでも良いからぁ……」
「……」
「し、晋くんだって、きもちくなれるよ?ほら」

 そう言って光樹は、いそいそと晋汰の足の間に体を潜り込ませてペニスの先端を晋汰のアナルにこすりつける。

「あ、ん」

 くにくに、と入り口を割り開こうとする切っ先に思わず声が洩れる。それに気分を良くした光樹が、息を荒くしつつ腰を押しつけようとするのがわかり、晋汰は容赦なく光樹の頬をはたいた。
 バチン! と痛そうな音がしたが光樹のペニスは萎えることなく、むしろ先走りを多くこぼす。真性だな、と晋汰は今さらなことを思いながら、恍惚とした表情で自分を見つめる光樹を睨む。

「何、勝手に挿れようとしてんだ。駄犬が」
「だ、だってぇ」
「だってもクソもあるか。ほら、貸せ」
「え!」
「あ? なんか文句あんのか?」
「っない! 全然ないよっ!」

 大袈裟に首を横にふる光樹を軽く無視しながら、晋汰は光樹のたぎったペニスを握る。そして先端を自身のアナルに合わせると、ゆっくりと腰を動かして受け入れた。

「あ、う……」
「っんあ、……おら、動け」
「う、うん!」
「あ、あ、」

 ぬぷ、ぬぷ、と先ほど言っていた通り先端部分、一番太いカリまでしか光樹は挿入しない。気持ち良いけれども、むずむずと物足りない感覚に光樹は唇を噛み締めて自分が組み敷く晋汰を見下ろした。
 右手は自身のペニスを扱いて、そして左手はマットの布をギュッと掴んでいる。どうせ掴むんなら俺の髪の毛を掴んで欲しい、と些か余裕のある光樹は思ったがそのことを口にすれば、凄く不機嫌な顔で「今すぐ抜け」と言われるのは目に見えているので言わなかった。

「ふ、あっあっ、ああんっ……!」
「っは、あう!」

 そんな光樹が馬鹿なことを考えている間に、晋汰は体をびくびくと跳ねさせて射精した。そのきゅう、と強い締め付けと、感じきった晋汰の表情に光樹は目眩がして、本能のまま腰を押し付けた。

「ひ、あうっ!?」
「ん、んあ、しっ、しん、くっ」

 晋汰の細い腰をガッチリと掴み、容赦なく腰をふる。すべてがあったかい内壁に包まれる感覚にぞわぞわと背中が震える。まるで、出ていかないで、と言っているようで光樹はうっとりとした。



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