小説 | ナノ
 あの憧れの生徒会長がデレデレした顔で男を連れて出ていったのだから食堂内のざわめきが止むことはない。まぁ、会長のことだから海への嫉妬ややっかみなどは、きちんと対処するだろう、と晋汰が海の食器と自分の食器を返そうと立ち上がったときだった。

「手伝うよ」

 にっこり、きらきら! という効果音を携えて王子のような風貌をした生徒がすっと食器を持った。そのあまりにも、スマートな行動に晋汰は眉間に皺が寄ったがここで断った方が親衛隊が怖い。
 だって、この人物はこの学園の副会長だ。人並み外れた容姿だけでなく、優しく誠実な性格で生徒だけでなく教員まで色んな意味で彼の虜だ。

「わざわざ、ありがとうございます。副会長」

 仕方なく、晋汰は人好きするであろう笑みを浮かべて言う。先ほど、海と話していたときとは打って変わって、大きな猫を被った晋汰は下心の見えない誠実ないち生徒に見えるだろう。けれども、内心は大いに荒れていたのだった。

* * *

 体育館の裏にある倉庫。中は薄暗く、あまり使用されない道具ばかりが置かれているので少し埃っぽいが、逆にそのおかげで滅多に人は来ず、密かに事にうつすことができる。しかし、鍵がかかっておりそのような事にも使用されることはないのだが、どこでも開錠できるマスターキーをもつ生徒役員なら話は別だ。

「なに人前で話しかけてきてんだよ、クズ」
「っだって、最近、全然してくれないから……」
「あ? 当たり前だろ? 誰が好き好んでんなことするかっつーの」

 そんな体育館倉庫で晋汰は顔を歪めて、自分の前に跪く副会長、若森 光樹(わかもり こうき)を見下ろした。もじもじとする光樹に苛立って、頭をかきむしるが苛立ちはおさまらない。思わず、近くにあった物を蹴り飛ばすと、光樹から妖艶な吐息がもれた。

「晋くん、そんなのじゃなくて俺を蹴ってよ」
「黙れ。気色悪い」
「ね、晋くん。お願い」
「うぜぇ」
「晋くん……」

 耐えきれなくなったのか、光樹は晋汰の細い腰に長い腕を回す。そして、体のラインをなぞるように撫で回したかと思えば、ちょうどへそ辺りに顔を埋めて、匂いをかぐ。

「晋くんの匂いだぁ……」

 それはそれは幸せそうに笑う光樹に晋汰は唾を飲み込む。そして、足で光樹を薙払うようにして引き剥がすと、近くにあったマットに座って言った。

「脱がして、舐めろよ。変態」

 我ながらに悪どい、と思う笑みを携えた晋汰に光樹は文字通りしゃぶりついた。
 手際よく、上履きも靴下も脱がせると少し晋汰の足を持ち上げて、まずは親指を咥える。そして、人差し指、中指、薬指、と他の指も口内で舐め回し、自身の唾液でベタベタにする。さらに指と指の間にも余すことなく舌を絡めて吸い付いた。
 晋汰はそれを眺めながら、舐められていない方の足ですっかり盛り上がっている光樹の股間をぐり、と踏んだ。

「あっ……!」
「おい! 噛むんじゃねぇよ、クソが……」

 突然の衝撃に光樹が歯を立てたので、晋汰は容赦なくぐりぐり、と光樹の股間を踏む。すると、光樹は体を震わせつつも足の指を舐めるが、動きはたどたどしく薄い唇から洩れでる吐息は荒くなる一方だ。

「…………脱げよ」

 晋汰が足をどけると、光樹は戸惑ったもののゆっくりとベルトのバックルを外してファスナーをおろし、自分のペニスを取り出した。

「っは! 踏まれただけでイッてんじゃねぇよ」

 グロテスクなそれは、先走りではなく精液にまみれ、びくびくと痙攣していた。晋汰は舐められていた方の足で、まだ敏感なペニスをなぶる。少し指を動かすだけでも、大袈裟に跳ねるのが面白くて晋汰は息をのんだ。




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