小説 | ナノ
 たどたどしい手付きながらも緩急をつけながら扱かれれば、気持ち良くてたまらない。
 思わず快楽にだけ身を委ねそうになったが、そういうわけにはいかない。
 何故なら今の俺は所謂マグロという状態だ。
 一応、指示はしているものの俺は寝転んだままで頑張っているのは名賀のみだ。どう考えてもおかしい。
 普通に考えれば教える立場は受け身になるとはいえ俺だ。このままではないけない。

「ん、なっ、名賀!」

 声をかけるときに緊張か快感か、どちらのせいか分からないが声が裏返ってしまった。
 少し恥ずかしかったがそんなの今から言う言葉と比べれば屁でもない。
 俺は、唾を飲み込んでから半分叫ぶようにして言った。

「俺っ、名賀のち、んちん舐め、たいです……」

 段々、小声になっていったのは仕方ない。あと俺が変質者みたいなのは承知の上だ。
 だって、咄嗟に思い付いた言葉がそれだけだったんだ。致し方ない。
 けれど、明らかに俺が失敗したということは固まってしまった名賀から見てとれる。やっちまった、と思う気持ちと、嫌われたかもしれないという気持ちから俺は大いに焦っていた。

「……い、嫌か……?」

 無言に耐えきれず、そう尋ねれば名賀は数回瞬きする。それから、信じられないというように目を見開いた。
 やばい、確実にひかれている。俺がそう確信したときだった。

「いっ、嫌じゃないです……!」

 顔を真っ赤にしながら名賀が言ったのだ。

「……本当に?」

 信じられなくて俺はまじまじと名賀を見つめてしまう。
 自分で言っておきながら、だがもしかしたら名賀が俺を気遣ってそう答えたのかもしれないと危惧したからだ。

「むしろ、してもらいたいっていうか……。! せ、先生こそ嫌じゃないんですか? 無理してたりし」
「ない!」

 あわあわとする名賀に俺は大声で断言する。
 正直なところ、名賀の初めてを俺がもらえるということに密かに喜んでいるのだ。嫌どころか、むしろ嬉しい。
 そんな俺の気迫におされたのか、名賀はおずおずという感じで「それじゃあ、よ、よろしくお願いします」と礼をしたのだった。

* * *

 下着をおろして出てきたそれは既に立派に立ち上がっていて、俺は嬉しくなる。
 また、色が汚れを知らないピンクに近いことも本当に初めてなんだ、と実感できて変態くさいがたまらなかった。
 けれど、俺よりもサイズが大きいのは悲しいというか悔しいというか……。

「い、いくぞ」
「っはい、ん!」

 うだうだ言っていても仕方ない!
 俺は恐る恐る舌を伸ばして、ペニスの先端を舐めた。

「あ! う」

 すると大袈裟なくらいに名賀がビクン、と跳ね咄嗟に口元を大きな手のひらで塞ぐ。
 驚いて、顔をあげると熱に浮かされた瞳がこっちをじっと見ていたものだから、なんだか恥ずかしくて俺は直ぐに俯いた。
 俺の憶測に過ぎないけれども、多分、名賀は感じてくれている。そう実感すると、嬉しくてたまらない。
 俺は恥ずかしかったり、嬉しかったりで忙しない心臓を叱咤して再び舌をペニスを這わせる。
 歯を立てないようにして、敏感な先端や、くびれた部分、そして裏筋などを舐める度に名賀のくぐもった声が部屋に響いて、俺はさらに舐めることに必死になった。
 だから、いつの間にか名賀が口から手を外して俺の肩に触れようとしたのには全然気付かなくて。

「っ、んせっ……!」
「っん!?」

 気付けば、肩を押されて顔中に精液を浴びていた。
 突然のことに俺は呆然として、目を真ん丸にして名賀を見上げる。すると、伏せ目がちに眉を寄せて息を吐く名賀がいて、その信じられないほどに漂う色気に思わず、見とれてしまった。



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