小説 | ナノ
 最初は触れるだけのキスだったが、時間が経つにつれ舌を出してみる。するとぎこちなかったが名賀も舌を出してきて、俺達は互いの舌を絡ませた。
 くちゅ、ちゅ、という水音が部屋に響いてドキドキする。そっと目を開けてみると名賀の長い睫毛が目に入って、長い間見とれてしまった。

「っん、む」

 恐る恐るという感じで名賀の手が腰に回る。俺はそれに答えるようにして、名賀の首に手を回した。かなり恥ずかしいが、誰に見られるというわけでもないし、ここまで来たらヤケクソだ。なるようになれ。

「せんせ……」

 口を離すと、名賀が甘ったるい少し舌足らずな声で呼ぶ。まだ、キスがしたいような声色だったが俺は我慢してシャツをめくる。緊張か、直に触れた風のせいかは分からないが俺の乳首は見てくれといわんばかりに主張を示していて顔が熱くなる。けれど俺は憶することなく、シャツを胸の上までたくしあげて名賀に言った。

「……さ、わって?」

 我ながらそれはない、と思うようなセリフを言ってから後悔した。なぜなら、名賀が目を真ん丸にしてピクリともしなくなったからだ。
 普通にやろうとするならいきなり下にいくのはどうかと思っての行動だったが、無い胸をいきなり見せつけられても困るよな。いや、ひくよな。何を考えていたんだ俺は。
 そう調子に乗りすぎたと思って俺がシャツをおろそうとすると、いきなり名賀が俺の腕をガシッと掴んだ。

「え。な……あっ」

 そのまま押し倒されたかと思うと名賀の指は、俺の乳首をそっと撫でるように動いた。
 くすぐったいような気持ち良いような。なんともいえない感覚が広がる。反射的に首を竦めると、咎めるように強く押された。

「あ!」

 大きな声をあげた俺に気を良くしたのか、名賀は突起の周りをなぞるようにしてから摘んだり、くにくにと指先で転がしたりと自由にする。その様子を見たくなくて俺はギュッと目を閉じたが見えないせいで余計に敏感になる。けれど開けたくもなくて、もやもやしていたら、ふと刺激がなくなった。どうしたのだろうか、と目を開けると名賀は俺の乳首へと舌を伸ばそうとしているところだった。

「は、あぅ」

 止める暇なく、乳輪ごと口内に含まれる。まるで赤ん坊が母乳を飲むようにちゅうちゅう吸われて経験したことのない感覚に背筋がゾワゾワした。
 今、俺からは名賀のふわふわした髪の毛と伏せられた瞳の睫毛、高い鼻に白い肌によく映える赤色の舌が見える。その赤い舌が俺の突起を弄ぶ様はあまりにも妖艶で、目が離せなくなった。

「っん……ふ」

 片方を舐められていたら、もう片方は手で弄られて。手付きはどこかぎこちなさがあるが本当に初めてなんだ、と思うと逆にそれが嬉しかった。
 けれど、ずっと胸だけ弄られていたら物足りない。思わず太股を擦り合わせて、もじもじとしていると名賀が顔をあげて言った。

「こっちも、触って良いですか……?」

 なんか促したみたいで恥ずかしかったけど、俺はコクリと頷いた。
 名賀は名残惜しそうに乳首にキスをすると、器用に俺のズボンを脱がしていく。半勃ちしているせいで少し下着が盛り上がっていたので、隠そうとしたがすぐにそれは遮られた。
 その遮った大きな手はゆっくりと下着をおろしていく。下着から出てきた平均よりは一回り小さい俺のペニスは、少し先走りを零していて先端がテカテカと光っていた。

「かわいい……。先生、どうして欲しいですか?」
「っ!」

 まるで小さな子猫でも見たかのような蕩けた笑みで言われて、唖然とした。
 かわいい、は無いだろ! こんなグロテスクなもんのどこがかわいいのか甚だ疑問だが、何をするか言わなければ名賀は行動する気配がない。
 羞恥で死ねると思ったが俺は、蚊のなくような声で言った。

「さ、さわって……」

 さっきと同じだとか、ボキャブラリーが貧相だとかいう文句は受け付けない。だって恥ずかしすぎて頭が動かない!
 けれど名賀は嫌な顔せず、むしろ笑顔で「喜んで」と答えやがった。うああ、恥ずかしい……。



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