小説 | ナノ


 ハヴェルは力を込め過ぎて白くなったレトの指先が視界に入ってきても、自身の手の動きをやめることは無かった。むしろ、アナルへは指を一本増やし、もう片方の手はこぶりなペニスの亀頭をこねくり回すように、器用に動かした。

「っんんぅ、あ、あ、やぁ……」

 刺激が強過ぎるのかレトは嫌々と首を横にふるが、その行為は逆にハヴェルの嗜虐的な感情を溢れさせてしまう。
 容赦なく、薄い桃色だったペニスを扱くと同時に長い指は前立腺を集中的になぶり、さらに平らな白い胸の上でピン、と主張を示す色素の薄い乳首にも言葉通りむしゃぶりついた。

「はっ、あっ、あ、んあ、あうぅ……や、や、だめ、だ、めぇ……っ!」

 敏感な箇所を一気に責められて、レトは半分泣きながら喘いだ。
 体の奥底がじんじんとして体中の血液が煮えるのではないか、というほど熱くなり指先が意図せず震える。

「あ、は、んあっああっ!!」

 そして、ハヴェルがここぞとばかりに前立腺を強く擦った瞬間、レトは大きな嬌声をあげて精を吐き出した。
 レトが射精した後もハヴェルは残滓を絞り出すかのように、ゆっくりとペニスを上下に扱く。その度に、華奢な体はびくびくと痙攣しレトは甘い吐息をもらした。

「……ん、は……」
「……ぐちゃぐちゃだ」

 べったりと精液のついた大きな手のひらを見せつけるようにハヴェルは舐めてみせた。レトはそれを朧気な瞳で見つめ、知らず知らずのうちに喉を鳴らしてまるでねだるかのように熱に浮かされた瞳で見つめてきていた。
 その熱い視線を受けてハヴェルはドキリとする。
 性的なことに全くと言って良いほど知識の無かったレトをこんなにぐずぐずになるまで仕向けたのが自分なのだ、と自覚すると異様なほどの興奮を覚えると同時に、胸の奥底に温い感情が生まれるのを感じ目眩がした。けれど、その目眩は気持ち悪いものではなく甘い砂糖の海に酔っているようなもので、初めての感覚にハヴェルの早い鼓動は鎮まることを知らなかった。

「レト……」

 気付けば、レトの薄い唇へと自身の唇とを重ねていた。

「っふ、ん、む……」
 自身の長い舌をねじり込ませて、小さな舌と絡め合わせる。互いの唾液が混ざり、ちゅ、ちゅ、という水音が部屋には響く。控え目ながらもハヴェルに答えようと懸命に舌を動かすレトが可愛くてハヴェルはたまらず、熱くたぎった自身を取り出しレトのアナルへと擦り付けた。

「ふぁ、ん、は……」
「挿れても、いいか……?」

 獣のような瞳で見つめられてレトは抵抗することなく頷いた。
 ぬるぬると互いの精液で滑る感覚を楽しんでからハヴェルは焦点を定めゆっくりと挿入する。圧迫感に顔をしかめるレトの手をぎゅ、と握るとレトもたどたどしく握り返し深く息を吐いた。

「あ、ん、あぁ……」
「……っ、痛くないか」
「だ、いじょ、ぶ、です……」

 そうやってぎこちなくレトは笑う。
 言う通りに痛みはないのだが異物感と圧迫感が込み寄せていて意図せず眉間に皺が寄ってしまうのだ。
 ハヴェルは申し訳なく思いながらも、まるで包み込むように蠢く内壁から離れたくなく、じっと慣れるまで待つ。そしてうっすらと汗の浮かぶ額に口を寄せて軽くキスをしたりなどして、レトの気を紛らわそうとした。

「ハ、ヴェルさま……ん」

 するとレトはとろんとした瞳を向けて、握りあった手に力を入れ自分の唇をハヴェルの唇にちゅっ、と拙く重ねた。
 瞬間、ハヴェルは硬直するがすぐにその端正な面差しを緩ませ、堪らず腰を動かした。


「あっあっ、んぅっ、ああ、はぁ、んあぅ」
「っ……ふ……」

 激しい律動にレトは体を反らせる。ハヴェルはその浮上った喉仏に舌を這わせて甘く噛むと、ピクピクと華奢な体が震えた。
 握りあった手を離して、レトを抱き抱えるように体勢を変えるとレトも応えるようにハヴェルの広い背中へと手を回して快楽に酔うのだった。




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