小説 | ナノ
「入っていくの見える?」
「う、ん」
「トモのお尻はやらしいなぁ」
「や、ぁ」

俺は、ちんぐりがえしの体勢のままアナルに指を突っ込まれている。
俺が出した精液を潤滑剤にして指は入ってくるのだが、異物感がすごい。

「んん!」

男らしいゴツゴツした指が何かを探すように蠢く。中で指を曲げられると甘い感覚に体が震えた。

「ここ気持ち良いんだ」

勝手に断定されて悔しい。まぁ…間違ってないけど。
それから指はそこばかりなぶってきた。最初はゆっくり撫でてるだけだったけど段々、動きが早くなって指も三本入っていて目に悪い。

「っん!あ…んぅ、…は、あぅ!!」
「こら、ちゃんと見ないと」

卑猥な光景に耐えきれなくて顔を背けるとぐり、と力を込めて気持ち良いところを押される。強すぎる快感に体の隅々まで電流のような快感が走った。

「もぉ、や、めっ」
「んー?気持ち良くない?」
「ち、がぅ…」
「…じゃあ、なに?」
「らっ、て…タク…マの、ゆびがぁ…きも、ちよすぎてっ…お、おか、しくなるのぉ…!」

俺が熱に浮かされてAV女優も言いそうにない三流なセリフをとぎれとぎれ伝えるとタクマは固まって、

「…ブフォッ!!!!」

大量の鼻血を噴き出した。


「ぎ、ぎゃああああ!!!!!」

一瞬にして俺の体は血塗れになる。
慌ててベッドの隅まで逃げてシーツで拭うがなかなか取れない。独特な鉄のにおいも部屋に充満してるし、タクマはうずくまって鼻血をぼとぼと流しベッドに血溜を作っていてホラーだった。

あまりな光景に意図せず鳥肌は立つし顔は引きつってヒクヒクした。

「タ、タクマ…」

信じられないくらいの出血量に怯えつつも声をかけると、タクマはゆっくりと顔をあげる。
その端整な顔は真っ赤な血で染め上げられていて俺は泣きそうになった。
こ わ す ぎ る !!


「…が」
「え、…何?」
「トモが…」
「お、おれ?」
「トモがえろすぎるんだよ…!!!」
「ちょ、ひいっ!!」

目をこれでもかってくらい見開いて、タクマが迫ってきて俺は小さく悲鳴をあげた。

つーかなに、俺がえろすぎるって。


「あああ!もーっ!!このばか!」
「ば、ばか!?」
「俺の指が気持ち良いとか無防備に言うし!まんまと引っ掛かってフェラとか色々しちゃうし!必死に舐めてるのメチャクチャ可愛かったし!…普通だまされてるって気付くだろおお!!」
「は!?だましてたのか!」
「ああぁ〜!ほんとばか!にぶちん!!」

ばかばか連呼しながらタクマは俺をギュッと抱き締めた。
というか理不尽にもほどがある。なんで俺がここまで乏されなくちゃいけないんだ。被害者だぞ。


「…ばかじゃねぇし、にぶちんでもねぇよ」

口を尖らせて抗議すると、俺の頭を撫でてたタクマの手が止まった。そして顔を離して、俺達は見つめあう形になる。
真剣な瞳に俺はドキッとした。

「うそ」
「…うそじゃねぇし」
「うそだもん」
「違うって」
「…にぶちん」
「っ!だからちが―――」
「だったら!!…なんで、なんで…俺がトモのこと好きなの気付かないんだよっ…!」

ばか、と切なく続く言葉に俺は瞠目してから今にも泣き出しそうなタクマを見つめた。





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -