小説 | ナノ
トラさんは、ゆっくりと俺の体のラインを確かめるようになぞった。
くすぐったくて笑うとトラさんは少しムッとしてから俺の衣服をすべて剥く。貧相な体で申し訳ない。

数秒間体を隅々まで見られてから四つん這いにされて腰だけを持ち上げられる。
かなり恥ずかしい格好だけど俺は興奮した。

おかげで俺の息子は既に臨戦状態で先走りをこぼしている。
ソファ掃除するのはトラさんなのに…この愚息子め。だらしないぞ!ごめんなさいお父様…。

「…唾液でも大丈夫だよな」
「え?やんっ、や、あうぅ」

バカな一人芝居してる間にアナルの入り口にトラさんの舌がつたった。
最初は驚いたけど熱い舌がもたらす快感に俺は、あっという間に腰砕けだ。

「あ、あぅ…ひあっ」

大きな音をたてて舐め回されたりキスされたり。つんつんと舌先でつつかれると俺のアナルはヒクヒク収縮した。
そして、その収縮のリズムにあわせて舌がゆっくり中に入ってきて蠢いた。

「は、はいるのぉ…あつ」
「ん」
「や、や。きも、ち、いぃ…」

柔らかくなったそこには指も増やされて、ぐじゅぐじゅに溶かされる。生理的な涙が溢れて視界がぼやけた。
気持ち良いことしか追えなくなって、腰を自ら振ると仰向けにされた。


「…っと。挿れるぞ」
「っん」

熟れたアナルに熱いペニスを押しつけられる。
額に軽くキスしてからトラさんは、ゆっくりと腰を進めた。

「うぁ…っは、あ、んん」
「…っ」

質量のあるペニスが中を犯す。裕信さんとのは形がやっぱり違うからいつもと感じが違って俺は堪らなくなった。

「悪いが、もう動く…っ」
「ん、あ!」

奥を抉るようにゆっくりとピストンされて、じわじわ迫り来る快感に口が開きっ放しになる。口の端から垂れた涎を舌で掬われた。
それから、わざとらしく音を立ててキスをする。

「ん、ちゅ、…むぅ」

その間も腰の動きは休まることなく俺を追い上げてきた。
アナルからペニスが抜けると思うくらい引かれ、これ以上入らないってくらい押される。焦れったくて仕方ないけど気持ち良いのも確かだった。

「と…らさ、あ!おれ、もぉ、いくぅ…」
「俺もだ彰…。一緒に…」
「う、ん!んっ…んああ」

イくときに手をギュッと握られた。
まるで恋人みたいな扱いにむず痒い感情が心の隅に生まれた。ぷかぷかと宙に浮いてる感じ。
こんなの初めてで困る。

「は、…ぁん」
「…気持ち良かったか?」
「…はい」

汗が滴るトラさんは、とてもかっこよくて顔が赤くなった。いつもはこんなことないのに…。
今日の俺はなんだかおかしい。



「…終わったか」
「!」

地を這うような声に驚く。声の元を辿ると壁にもたれ掛る裕信さんがいた。
その姿はモデル顔負けなほど様になっていて格好良い。

「…彰」
「ふえ?やんっ」
「っ!…裕信っ」

スタスタと長い足で歩んできた裕信さんは軽々と俺を持ち上げる。そのせいで、まだ中に入ってたトラさんのがずるんって抜けて背筋が震えた。

「おい!裕信!!」
「…」

俺を姫抱きにして裕信さんは寝室の方へと進む。その足取りに迷いは見られない。


「お前は部屋を片付けてろ」

寝室に着くなり俺をベッドに放りなげた裕信さんはトラさんを突き飛ばし部屋の扉を締めて鍵をかけた。
外から扉を叩く音とトラさんの声が聞こえるが、そんなのお構いなしに裕信さんは俺に覆い被さった。

ギシ、とベッドが悲鳴をあげる。
やけに整った目前の顔は見たことのない表情をしてた。

「…何か、ツラいことでもありました?」
「………なんで」
「だって裕信さん、今にも泣きそうな顔してる」

今日は俺だけじゃなくて、やっぱり裕信さんもおかしい。




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