「帰るぞ」
そう言うと、裕信さんは有無を言わさず俺に自分のスーツの上着を被せて俵のように担いだ。
なんでここが、とかは愚問だ。だって裕信さんだし。
教室の隅では、裕信さんに強烈な蹴りをくらわされた高崎がのびていた。折れてはないだろうけど多分、かなり痛いと思う。
「帰ったらお仕置な」
そして誰もが惚れてしまいそうになる笑顔で裕信さんは、家に着くなりお仕置とやらを実施した。裕信さんは真性の変態だった。というか俺は無実じゃないのか。
人間には、二種類のタイプがあるらしい。
捕食する側とされる側。
俺はどう足掻いても後者で、隣でぐっすり眠る裕信さんは明らかに前者である。
「ケツがおかしい…」
まだ異物感の残る尻を気にしつつ俺は、制服に着替えた。こんな不摂生は良くないと思うのだが、いかんせん相手が相手だ。
ため息を一つもらしてネクタイを締めていると体に重みが加わった。
「…おはようございます」
「おはよ」
「…重いんですけど」
「んー?」
「ちょ、俺、今から学校!」
寝起きで色気が半端ない裕信さんは、俺がせっかく結んだネクタイをほどいて体を撫で回し始めた。
「っ…駄目ですって。昨日あんだけしたじゃないですか」
「あ"ー?ケツがおかしいんだろ、診てやる」
「起きてたんですか!?ちょ!や、んぅ…」
尻を鷲掴みにされて、割り開くように押し上げられる。服の上からアナルを指で刺激されただけなのに、昨晩のせいで敏感になってる体は色めきだった。
「んん…やぅ、だめだってばぁ…」
「ん?気持ち良いんだろ?ほら」
「うぇ、あっあ…んぁん!」
尻だけでなく、ゆるく勃ち始めたペニスも揉まれて自然と涙が出てくる。泣いて許しを乞うが、裕信さんは手の動きを止めない。ぐちぐちと下着の中から水音が聞こえてきて羞恥に頬が染まった。
「ふぁ、あんっ…ん、ん、」
「やーらし。こんなにぐちゃぐちゃにしやがって…この淫乱」
「ふぇぇ…ば、か!」
いつの間にか裕信さんは直に俺を愛撫していた。アナルには骨張った指が抜き差しをしててぬちぬちと音を立てているし、先走りによってペニスもやらしく濡れていた。
「やらぁ、はや、はやいのぉ…あ、ん」
激しい指の抜き差しに足がガクガクする。裕信さんの長い指は的確に俺の気持ち良いところを刺激してきておかしくなりそうだった。
「ほら、もう俺の欲しいんだろ?」
「や!止めないでぇ…」
「だったら、おねだり」
ほら、と急かすように二、三度激しく動いてから指は抜かれた。
「……うぇ…裕信さんの、おれに挿れて…?」
「そんなんじゃだーめ」
「んやぁっ!」
指を抜かれたアナルの入り口に、裕信さんのペニスを擦りつけられる。もどかしくて腰が揺れてしまった。するとお仕置と題して指でペニスを軽く叩かれ、あられもない声がもれた。
「ほら、もっと詳しく。出来るだろ?」
捕食者のギラついている目と反して優しい声で囁かれ、俺は意を決した。
「…裕信さんのっ、おっきいおち、んちんで…俺のえっちな、けつま、んこ…いっぱい…、いっぱい犯してください…!」
今すぐ消え去りたい、いやむしろ死にたい。
そんな俺の内心を分かってるのか分かってないのか、裕信さんが意地の悪い笑みを浮かべながら挿入しようとしたときだった。
「くく、…この変態め…」
「変態はテメェだ!!くそやろぉおおお!!!!」
ガゴーン。爆音を携えて金髪の男が乱入してきた。
「…おいゴラ、テメェ誰に向かってそんな口聞いてんだ」
「テメェだよ!テメェ!!このショタコン!」
「は?誰がショタコンだ」
「今の現状振り返ってみろよおおお!!!!!」
朝から元気なこの人は、真中 虎雄(まなか とらお)ことトラさん。裕信さんの部下兼幼馴染みらしい。
見た目は、眩しくなるくらいの金髪に吊り目の強面だが裕信さんに並ぶくらいの美形だ。
しかし見た目と違い、常識を携えているまともな人である。俺を哀れんで介々しく世話をやいてくれる良い人でもある。
← →