「あ、あきらたん…!」
鼻息荒く俺にのしかかるのは、生徒会長の高崎 秀也(たかざき しゅうや)だった。
普段の俺様な雰囲気は消えて、明らかに興奮していて気持ちの悪い表情をしている。せっかくの男前が台無しである。
しかし、この態度と"あきらたん"発言からどう考えても俺の仕事を高崎が知っているに違いなかった。
そう、俺がAV男優であるということを。
俺がそんな仕事をしているのにも、きちんとした理由がある。
中学の頃に両親が蒸発して残されたのは多額の借金と俺、多田 彰(ただ しょう)だけだった。その返済のために、臓器を売る決意でいた俺だったが今の宿主の榊 裕信(さかき ひろのぶ)によってその決意はあっけなく破壊された。
裕信さんは、俺の両親に金を借していた所謂ヤクザというやつでとんでもない美形である。初めて会ったときは、整いすぎた裕信さんの顔立ちと醸し出すオーラに背筋が震えたのを今でも覚えている。
「お前、まだ中坊なんだって?」
事実なので頷くと裕信さんは俺の頬に手を当てて、少し緑がかった瞳でじっと俺の目を見つめたまま話をした。
「世の中には、マニアックな奴等が沢山いるんだよ。少年の未発達な体にやらしいことしてぐちゃぐちゃにさせたい奴とか、いーっぱい」
「…っ」
「でも、そんなこと実際にしたら犯罪。だから皆我慢すんだよ。…けど俺は優しいからさ」
頬に添えられてた手が首をつたってゆっくりと下へと降りてくる。ちょうど左胸あたりでそれは止まり、俺は心臓を鷲掴みにされているようで目眩がした。
「そんな可哀相な奴等に俺は夢を与えてやんの。手を出さなければ、つまり見るだけなら犯罪じゃない。そうだろ?」
にっこり、と笑ってから裕信さんは言葉通りぐちゃぐちゃに俺を犯した。とにかく痛かったことは覚えている。他は思い出したくない。
そしてその情景は、しっかりとビデオに録画されていた。裕信さん曰く、かなりの本数が出回ったとのことだが至極どうでも良かった。
こうして俺は齢14にしてAV男優となったのだ。
そこから目まぐるしく俺の人生は変わった。
色んな格好で、設定で、シチュエーションで、毎晩裕信さんに抱かれて。そして当たり前のように録画したそれを何本か裏物の市場へ出回す。
時が経つごとに市場に出回ったビデオの数も増えて、俺主演のホモビデオはある程度知名度のあるものになっていた。
すると本当に信じられないがこんな俺にもファンというものが出来るらしく、たまにプレゼントとか手紙が届いたりする。中身や内容は、やはり気味の悪いものばかりだが。
「お前の名前は"あきら"だ」
「や、っあ」
俺のアナルからプレゼントの1つである趣味の悪い玩具を抜き差ししながら裕信さんは唐突に言った。
「お前も人気が出てきたからな。名前がある方がなにかと便利だ」
「んっんっ、ぁ!」
「こら、ちゃんと聞いてるのか?」
「やぁ!う、ん。きぃてる!きーて、るからぁっ」
ぐちゅり、と水音をたてながら玩具を抜かれ急な虚無感に泣きそうになる。思わず裕信さんに縋って甘えを乞うがなかなか答えてくれない。
「…ほんと、やらしくなりやがって」
「っ裕信さんのせい!」
「そうだったな。悪い悪い」
思ってもない言葉を口にして、裕信さんは俺の足を大きく開かせた。
先程まで玩具を咥えていたアナルはヒクヒクと収縮し、まるで誘うような動きをする。そこへ熱い高まりを擦りつけられて自然と腰が揺れた。
「あっあっ、んぅ…は」
ゆっくりと入ってくる凶器ともいえる大きさのペニスに俺は悶えた。これでガンガン突かれるともうたまんない。理性なんか一瞬にして吹っ飛んでしまう。
「あ!んっんっ、んぁあ!」
始まった激しい揺さぶりに俺はシーツを手繰り寄せた。ぼやける視界には、ギラギラと獣の目をした裕信さんがいる。"あきら"なんて安易なネーミングをするのに、と思わず笑みがこぼれた。
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