小説 | ナノ
次の日。
朝にハヴェルはレトの体を労り、一日中ずっと寝ているように命令してから訓練場に来たが解放出来なかった熱にイライラしていた。
それを昇華するために、より訓練に励んだが思い出すのはレトの悩ましげな表情ばかり。

今日は火曜日なので本来ならば欲を発散出来るのだが、日曜日に相手を誘うのを忘れていたためどうしようもない。
けれど部屋に帰れば据膳が待っている。
葛藤を繰り広げながら、ハヴェルは鍛練をして更に騎士達の羨望の的となった。



***

ハヴェルは五日間、そう五日間も我慢したのだ。
あれからというもの、懐きに懐いたレトはもう警戒心の欠片もなく目の前で無防備に寝るわ、一緒に風呂に入りたがるわ。よく理性が保ったものだとハヴェルはしみじみとした。

けれど流石に最近まで毎日のように性欲を晴らしていたハヴェルの限界は来て、明日は日曜日だと気を抜いたら夢精していた。

「………」

下着は濡れて気持ち悪く、ハヴェルのペニスはまだ萎えることはない。
起きてシャワーを浴びようと思ったがレトがハヴェルに抱き付くように寝ていて、身動きがとれない。
どうしようか、と思案していると運悪くレトが瞼を震わせた。

「ん…」

ハヴェルは思わず固まってしまう。
起きるな、そう願ったが呆気なく願いは却下されてしまった。

「………」
「……」
「………おはよう、ございます…」
「ああ」

レトは凝視されてることに目を丸くしたが、とにかく挨拶をした。ハヴェルは相変わらず無表情だが、きちんと返事をする。

「………あの?」

なんとなく気まずくてレトが起き上がろうとしたがハヴェルが無言の圧力と腕力を使って阻止する。密着し過ぎているせいでレトが動くと膝がハヴェルのペニスを刺激するのだ。

どうにかこの状況を脱したいが、そのためにはどう考えてもレトの協力が必要だ。
しかし、まだ性知識が乏しいレトに馬鹿正直に動いてもらいたくない理由を説明するわけにもいかない。
ハヴェルがぐるぐる考えているとレトは何を思ったのか更に密着してきた。

「…っ…!」
「へへ、あったかい…」

すりすりと頭をハヴェルの胸元に擦りつけてレトは目を細めた。
その拍子にレトの膝がハヴェルのペニスを直撃して、ハヴェルは息を詰めた。思わず前屈みになると柔らかいレトの髪からふんわり、と甘い香りが漂う。同じ物を使っているのに何故こうも違うのか、と意識を違う方向に向けようと奮闘したがそれは無駄だった。

「………なんか、あたって…」

自分の膝に違和感を感じたレトがわざわざ手を伸ばして確かめたのだ。無邪気な小さい手のひらはハヴェルの我慢など知るはずもなく、好き勝手に蠢く。

五日間の我慢の上に据膳。無意識だが、あちら側から誘ってきている。
飛び付かないわけがなかった。

ハヴェルはレトの体をいとも簡単に仰向けにすると覆い被さった。

「…っはー、はー…」
「………ハヴェル様?気分でも悪いのですか?息が…」

いきなり押し倒されてもレトは、ハヴェルの呼吸の乱れようが気掛かりで仕方ない。
眉を下げて、心から心配するレトにハヴェルはとどまって考えた。

ここで襲ってしまえば、先週の二の舞になるのは容易に想像できる。けれどもう我慢は利かない。どうすれば―――。

「レト、頼みを聞いてくれないか」

気がつけば、口が勝手に開いていた。




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