小説 | ナノ
 そういえば、俺も初めてのときは挿れただけでイっちゃったなぁ、なんて昔のことを思い出す。
 あのときは早漏とか思われてないか、凄く焦ったけど、受け身の立場からすれば、なんと可愛らしいことか。
 まだ、涙をボロボロ流しながら弁明する名賀がこれ以上恥ずかしいことを口走る前に、と俺は名賀の頭を撫でた。

「別に良いから、気にすんなよ」
「で、でもっ、おれっ、な、なかにっ」
「ん? 俺、男だから大丈夫だって」
「ちが、ちがうんですっ」
「え?」

 嗚咽をもらしながらも名賀が説明してくれたことをまとめれば、俺が腹を壊してしまうらしい。
 その原因が中出しをした際の精液らしく、名賀はテンパってゴムもつけずに挿入した自分が悪いとひたすらに自分をせめるのだが、俺に全く非がないとは言えない。
 男同士とはいえ、セックスだ。相手のことを考えればコンドームを用いるのは当たり前のことで、いくら快感に流されていたとしても、俺はもっと注意をはらうべきだった。

「名賀、自分ばっかり責めるなよ。とにかく、掻き出せば良いんだろ?」

 な? と首を傾げれば納得はいってないようだが名賀は頷いてくれた。

「ふ、……ん、あ、っ!」

 俺が促すと、名賀は挿れるときと同様にゆっくりとした動きで腰を動かしてペニスを抜いていく。ず、ずとその抜けていく感覚に体が勝手にざわめいて、触ってもいないのに俺のペニスがぴくぴく動いた。

「っああ!?」

 その様が恥ずかしくてみじろぐと、丁度、ペニスの切っ先が前立腺をうまい具合に擦って、その甘い快感に体が痺れた。

「っは! むらっ、た、せんせっ、そんなに、しめっないで……」
「ご、ごめっ……。ひ、う! なが、あっ、そこっ、や、ああっ!」
「っう!」
「ふぁ、あ……ん!」

 互いに、どうにかしようと体を動かすがそれは悪い方向にしか向かわなくて。
 気付けば俺達は少しでも刺激を避けるように固まっていた。
 けれども、中途半端に快感を与えられた俺のアナルは名賀のペニスをきゅうきゅう、と締め付けて更に新たな快感を欲す。

「っあ、ふ……」

 ぐ、と眉を寄せる名賀に申し訳ないという気持ちがわき上がる。
 教えてやる、と言っときながら逆に教えられるし。そのせいで我慢ばかりさせて、たくさん泣かしてしまった。
 本当に俺ってば何をやってるんだろう。名賀よりいくつも年上のくせに頼りなくて、ダサくて――。
 そんな俺が出来ることは。

「………………っ名賀、ごめんな……んっ」
「え。あっ……」
「なっ、んも……っかんがえっ、あっ、なく、て、いい、からぁ」

 体勢をたてかえて俺は名賀に跨がって腰をふる。
 すると、さっき中に出された精液が重力に従って下に落ちて、俺が動く度に接合部から精液がごぷ、ともれた。なんとなく粗相してしまったようで嫌だったけれど、そのおかげで出し入れしやすいのは事実だ。
 俺は、とにかく名賀に気持ち良くなってもらおうと腰を振りたくる。安易な考えかもしれないけど、俺は名賀が少しでも気持ち良くなってもらえたら嬉しい。
 他でもない俺で。

「っあ、ふ、あっ、ん……。あっあっ! んん、あ、ひっ」
「だっ、めです……! っ、あ」

 なんだかこうしていると俺が名賀を襲っているみたいで興奮する。
 乾いた唇を舐めると、中のペニスが大きくなったような気がした。

「っん、ん! な、ながぁ、ながっ、あ、あう」
「もっ、で、出ちゃ……っ」
「出し、てっ、あっあ、お、れのっ、なかぁ、んぅ、はっあ」

 腰の動きを早くすれば、今まで行き場を無くしていた名賀の手は俺の腰を掴む。
 どうやら中に出さないようにペニスを抜こうとしているみたいだが、そうはさせない。
 俺はぺたん、と名賀の上に座り込んで腰を前後、左右に揺さぶる。

「っほん、とにっ、でちゃい、ますからぁ……っ!」
「ん、あっあ、はう、ん、んぅ、あ、ああっ」
「あっ、もっ……ふあっ!!」

 こんな体勢にも関わらず、名賀の精液は勢いよく奥に注がれる。
 名賀の上下する胸板に手をついて腰をあげれば、それにつられたようにして精液がボタボタと中から零れ出した。



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