06
それが一週間前の出来事となる。
言葉を追加するなら、ファーストフード店を出た後私達はアイスクリームを食べに行った。
また彼の奢りで、何故かと聞いたら――。
「2回目のキスができたから」
とまた妖美な笑みをしていた。
もちろん入学式の次の日はあのトラファルガー・ローとキスをしたことはたちまち学校全体に風の噂の如く広まったのは言うまでもない。
そんな感じで何故かトラファルガーくんが毎日のように登校するときは家の前に来ていて、下校するときはいつのまにか手を引っ張られていた。
学校に着くと生徒がチラチラと見てくる。
一週間経っても慣れなくて赤くなりながら下を向いていた。
教室に着くとシャチくんがいた。
「あ、リーシャ、キャプテンおはよう!」
「あァ」
「シャチくんおはよう」
後から知った事だが、シャチくんとトラファルガーくんは幼なじみだということを知った。
何故キャプテンと呼ぶのかと聞くとシャチくんは聞かないでくれと遠い目をしていた。
――ガラッ
「シャチ、お前昨日貸したCD持ってるか?」
教室に来たのはペンギンと英語で書かれた帽子を被った隣のクラスのペンギンくん…なんで皆見たままの名前なのか不思議だ。
「持ってるぜ」
シャチくんはガサゴソと鞄を漁る。
ペンギンくんもトラファルガーくんとキャスくんの幼なじみだと言っていた。
「じゃあCD借りてくな……リーシャも毎日大変だな」
「へっ?え、えっと……」
「……ペンギン」
トラファルガーくんはペンギンくんを睨んだ。
でもペンギンくんはおもしろそうに笑いながら教室を出て行く。
それからしばらくすると授業が始まったので私達は席についた。
先生が書いている文字をノートに写していると横からトントンと肩を叩かれる。
「どうしたの?トラファルガーくん」
横を向くと何故だか不機嫌なトラファルガーくんがいた。
「いい加減名前呼べよ」
「え……」
「シャチとペンギンは名前で呼んでるだろ」
どうやらトラファルガーくんは名前で呼んほしいようだ。
「………」
いざ呼ぼうとしたらなんだか恥ずかしくなった。
そんな私の様子に彼は――。
「呼ばなかったらキスするぞ」
と言う。
「えっ……」
それは止めてほしい。
私が躊躇しているとトラファルガーくんの顔が近づいて来た。
「待って!……トラ……ロ、ローくん!」
私は慌てて名前を呼ぶ。
「ククッ……上出来」
――チュ
……………。
名前を呼んだのに頬にキスされた。
理解すると同時に私は立ち上がる。
「っ……!」
――ガタッ
「どうした、メイス?」
「ほほ、保健室に言ってきます!!」
私は先生にそう言うと頬を抑えながら教室を飛び出した。
それを見ていたローは
「フッ……可愛いやつ」
とこれから楽しみだと口の端を上げながら笑っていたのであった。
嵐の予感と恋の予感?
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