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「うわぁ……」
「過激だな……」
私とボニーちゃんは一つの方向を疑視しながら見つめる。
そこには様々なコスプレをしている人達が一生懸命走っていた。
はっきり言って、シュールだ。
けして目も当てられないというわけではないが、どんな反応すればいいのかわからない。
そんな折、向こう側から黄色の歓声が聞こえてきた。
「お、トラファルガーのお出ましか」
ボニーちゃんがカメラを構えてローくんを待ち構える。
もちろん後でからかう為だと言っていた。
「え、は、白衣……?」
「マジかよ、生徒会でも操ってんのかあいつ!」
出てきたのは眼鏡に白衣というすごく狙ったようなローくんだった。
とても似合っていて、周りの女子生徒のテンションはMAXだ。
鼻血まで出している人もいる。
へんてこな仮装を期待していたボニーちゃんはチッと舌打ちをした。
優雅にグラウンドを走り抜け見事に一位を取ったローくんは女子に囲まれながらこちらへ戻ってきた。
「ちょっと来てくれ」
「え、ちょ!ローくん?」
突然、白衣のままのローくんに手を引かれ戸惑う。
「ど、どこいくの?」
目をハートにしている女子を軽くあしらいながら歩くローくんに尋ねる。
「時期わかる」
それだけ言うとローくんは誰もいない体育倉庫の裏にある大きな木の下に向かうのが見えた。
ここの木はジンクスで有名な恋が実るという木だ。
「どうしたの?こんなところに」
「お前は覚えていないが、昔俺はお前と会ったことがある」
「え?」
木の下に立ち止まったローくんは驚きの言葉を発した。
もちろん初耳である。
「い、いつ?」
「中学三年の時」
「ど、どこで……?」
「道端」
戸惑いながら聞く私に坦々と言う。
そんな記憶は……わからないよ。
全く身に覚えがない出来事に悩んでいるとローくんはフッと笑い喋り出した。
「あれは……俺が喧嘩吹っ掛けられて油断しちまった後だった――」
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