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体育祭のプログラムの一番最初の競技は「パン食い競争」だった。
「ボニーちゃんが出るね」
「違うクラスだがな」
「そうだね。でも私はボニーちゃんを応援する!」
「……羨ましいな、ジュエリー屋」
「……ローくん、今何か言った?」
「いいや、別に」
ローくんとそんな事を話していると競技開始の合図が鳴った。
『位置に付いて……よーい……パンッ!』
空砲が鳴った瞬間、選手達が一気に走り出した。
「あ、ボニーちゃんいた!」
私がボニーちゃんを確認した時にはパンをかじった時だった。
「さすがボニーちゃん……」
「食べんのが早過ぎだろ、あいつ……」
大食いの名は伊達ではなかった。
パンをヒモから取った後、ボニーちゃんは一瞬でパンを食べる。
その後のボニーちゃんは余裕でゴールテープを切った。
ボニーちゃんがクラスの人達に囲まれた後、私達のところまで来てくれた。
「どうだ!見てくれたか?」
「うん!ボニーちゃん凄かったよ!」
「ははっ!ありがとな!」
「あァ、女とは思えねェ食いっぷりだったぜ?」
「人が良い気分の時に余計な事言うんじゃねェ!」
ローくんの言葉にボニーちゃんは睨みつけながら右ストレートを繰り出した。
――シュッ
――スカッ
ローくんはそんな攻撃をいとも簡単にかわした。
「……チッ、こいつ運動神経もよかったんだったぜ……」
「フ、まだまだ甘いなジュエリー屋」
「黙れクソファルガー!!」
二人はいつもの様にいつ終わるかわからない喧嘩をし始めたので、私はいつもの様に二人の間に入って仲裁をしたのでした。
いつでも何処でも喧嘩する二人
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