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――パンパンパン!

「あ、体育祭の始まりの合図だ……」

「今時、高校の体育祭で空砲なんざ使わねーだろ」

「ハハッ、確かにな!」

今私達は体育祭が行われる学校のグラウンドにいた。

「あれ?……ボニーちゃんは?」

私がそう言うと、ローくんは大きな木の下を指した。

――ガツガツガッ!

「……ボニーちゃん?!」

私が叫ぶとボニーちゃんはこっちを向いてなんだ?と言った。

「なんだって……なんでもう弁当食べてんの……!?」

「だって腹減ったもんだからよ〜」

そういうとまた弁当を食べ始めたボニーちゃん。

「確かボニーちゃんってパン食い競走に出るんだったよね……?」

先に弁当を食べて大丈夫なのだろうか?

「あいつの腹はブラックホールだから大丈夫だろ」

「ブラックホールって……」

確かにいつも食べている量を知っているからあれぐらいでパンが入らないことはないのはわかっているけど……。

「あいつ絶対他のやつのパンも食っちまうな……」

「!……シャチくっ……」

――ゴスッ!

シャチくんがそう呟いた瞬間、弁当のフタが飛んできてシャチくんの顔面にめり込んだ。

「ガフゥッ!」

シャチくんは悲痛な声を出すと顔を手で覆いながら地面に倒れた。

「うるせー!てめぇは黙ってろ!」

弁当のフタを投げたのはボニーちゃんのようで、弁当を片手に倒れているシャチくんに怒鳴った。

「フン……自業自得だな」


ローくんは鼻で笑いながらそう言った。


(ローくんも人のこと言えないような……)


私はそう思ったけど、言っても意味がないだろうと思い言わなかった。
顔に弁当のフタが直撃したシャチくんはすぐに保健室に運ばれたがしばらくは体育祭には出られないだろう。



「あ……!」


「どうした?」


「騎馬戦どうしよう……」


騎馬には三人で一組の種目、メンバーは私とローくんとシャチくんだ。


「……なんとかなるだろ、それに――」


ローくんはニヤリと笑いながら、

“たとえ何があっても守ってやる”

ローくんはそっと私の耳元で囁いた……。


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