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あれやこれやと一年があっという間に過ぎ去った。
その間にも戦争があった、大きな。
トラファルガーという男はその戦争に行き、ルフィという青年を助けに行った。その時の事を熱く、興奮気味に語るシャチに武勇伝の如く聞かされ、複雑であった。
海軍と海賊の戦争だなんて悲劇を産むものでしかないとあまり賢くない自分でも分かる。
それを海軍のお偉方達が先に先導して起こしたという事態に手放しで喜べる程、己の神経は図太くない。
落ち込んでいるとローが慰めてくれたりして、優しさに触れた。

「泣くのはお前の特技だな」

からかい口調で笑うローに俯くしかなかった。
でも、無理矢理顔を上に上げさせられてソッとキスをされたのは少しだけ驚かなかった。
慣れたのかもしれない。
慣れるだなんてはしたないと自分を叱責するが、嬉しくなかったのかと問われれば答えに詰まる。

「こいつを海軍へ連れて行く」

何かの袋をたくさん詰めた箱を横に携えたローは船員達に告げると皆驚愕の顔をしていて、かく言うリーシャも戸惑いを隠せなかった。
ローに詳しい説明を求めたが、行けば分かると言うばかりで肝心の部分は何一つ教えてもらえなかった。
それに、モヤモヤとしていると船員達に慰められる。

「船長にはちゃんと理由がある。なァに、心配すんな!」

リーシャに飽きたのだろうかと、悩む。
確かに海兵だしノロマで弱い。
足手纏いだと思われたのだろう。
段々自信を失っていくリーシャにローは音もなく部屋に入ってきた。
自室へ無断で入ってくる事は珍しい。
目をしばたかせているとローはスッと腰を屈ませて、何かを思う暇もなく唇を奪う。
そして、何事もなかったかのように去って行った。

「今の、もしかして、最後のキス……?」


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