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LAW side


リーシャに嫌われた事が発覚した後は、何も手が付かない。
殆ど放心状態だった。
そんな折り、彼女がローの部屋を訪ねてきた時には様々な最悪の結果を想像する。
嫌われたイコール船を降りたい。
そう脳内で繋がり柄にもなく焦る。
どうする、と彼女を引き止める策を巡らせた。
好きだから傍に居て欲しいというのは傲慢だろう。
けれど、本心だ。
ローはどこか落ち着きのない女を目の前にして背中に冷や汗をかく。
海賊として海兵が己の事を嫌うのは極々自然な事だとは理解している。
扉を閉めて最愛の海兵の後ろ姿を見た瞬間、手放したくないと思った。
勝手な事を思っているのは重々承知しているから、彼女が本気で降りたいと決めているのなら止める事はしない、と頭では覚悟を決める。
堪らなくなり後ろから抱きしめた。
びくりと震えた一瞬、直ぐに驚いた声を上げたリーシャはわたわたとし始める。
そして、キスをして欲しいと強請る。
いや、我が儘か。
慈悲と言っておいて彼女を手放したくない気持ちを引きずっているのだ。
女々しい思考に嘲笑う。
女はとても驚いた言動を取ると、ゆっくりと顔を近付けてくる気配に目を閉じる。
きっと目を開けていては恥ずかしがるだろうから。
淡い期待に柄にもなく心臓が煩く鳴る。
あんなに奥手な彼女がローに口付けを、慈悲をくれるのか。
頬が緩みそうになるのと、出て行くのだという意志表示の意味に奥歯を噛みしめた。
こんな理由でリーシャからのキスを貰うなんて想像していなかったが、柔らかな唇の感触が愛おしい。
つかの間の幸せに浸りたかったが、彼女が何故降りるのか知りたくて、心が焦げ付く感覚を感じたまま問うた。
しかし、焦るローとは裏腹に聞こえてきたのは何とも気まずい理由。
寝ぼけてキスをしてしまっていたなんて。
自分の事ながらに覚えていない事を悔しく思った。
でも、嫌いになったわけではないと知れただけでも気持ちは驚く程浮つく。
降りないのだ、この女は。
嬉しさに、ギュウギュウと再び抱き締めた。
煩いが晴れただけでも良いのに、更にキスまでしてくれた事に確証が出来たのだ。

「あのっ、手が」

手を絡めると彼女の焦った声が、耳に幸福を反響される。
仲直りをしたと暗に仲間達に伝えるにはこの方法が手っ取り早い。

「散歩行くぞ」

「え?でも……ここは船の中ですよね?」

不思議そうに、首を傾げる仕草をする女に口元を上げて、額へと口付けをした。


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