×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
 
33


その頃、自室に戻ったリーシャは激しい後悔の念に悩まされていた。
食堂で彼を避けるような行動をしてしまった事を強く反省してはいるのだが、話すという勇気が塵にも湧いてこないという気持ちのせいで今だローに謝る事も、朝の寝ぼけた行為の事を話す事も叶わない。
寝ぼけただけの他意のないキスはそもそも本人の意思でも意図してやったわけでもないし、覚えている様子もなかったので気にしない方が楽なのに。
それが出来ず、心の整理にも手が付けられない。

「嫌われたかも……はぁぁ」

何も知らないであろうローにいきなり距離を置いたりして、彼はさぞかし意味が分からなかっただろうと申し訳なくなる。

「どうしよう……」

おろおろと途方に暮れているとコンコンと扉を叩く音がして肩が揺れる。
どうぞ、とローではない事を祈り許可を出すと顔を出したのはペンギンであった。
内心ホッとしているとペンギンが中へ入っても良いか、と聞いてくるので頷けば扉の閉まる音にハッとなる。

「今、お茶でも入れますね」

自分の部屋に客人なんてローを抜けば久々だ。
その前は客人というより、メイクをしてもらう為に入ってもらったからカウントに入らないだろう。
少し落ち着かない自室の中にいる己にしゃんとしなくては、と叱責しながらお茶のお湯を入れてカップにコポコポと注ぐ。
全く目移りもしていない様子のペンギンに首を傾げながら側に歩み寄りカップをソーサーに乗せてテーブルへと置く。

「いきなり来て悪いな」

「いえ、特に何もしていなかったので丁度良かったです」

首を振るとペンギンが徐に切り出した。

「船長が−−」

「え?トラファルガーさんですか?」

「船長が嫌いか?」

「……………へ!?ど、どうしたんですかいきなりっ」

「いきなりというか、な……朝のお前の態度を見たら皆聞きたくて仕方ないと思うが……」

そんなに気を引かれてしまう程、態度で分かりやすかったと暗に言われてしまい恥ずかしさに赤面する。
それと同時に己の取ってしまった態度になんて事をしてしまったのだろうと後悔が滲む。


prev next
[ back ] bkm