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LAW side


朝起きて違和感が確かにその時あった。
いつもの彼女の叫び声もなく……最近は慣れたのか、叫び声が小さくなったからかもしれない。
シャワールームで頭をスッキリさせようと入ると、女物の石鹸の香りが鼻腔を刺激して先に入ったのだと口元がゆるりと上がる。
こうして生活感を感じると常にリーシャが近くに居るのだと胸が揺さぶられて高揚を味わう。
好きだと実感し、幸福を得ながらシャワーを浴びて部屋に戻った。
しかし、一時間が経過しても一向に彼女が部屋へ来る気配がなく甲板にでもいるのかと向かったが数人の船員が各自、自由な時間を過ごしている光景だけで彼女は居なかった。
行方を彼等に尋ねてみるも朝食以降は見ていないという期待外れの言葉ばかりで聞くのを止める。
それから昼になって食堂へ行くと、まだ来ていなかった。
食べ始めて数分後にやっと姿を表した海兵は何故かローから一番離れた席に座り食事を始めたことにより違和感がはっきりと姿を現す。
初めは何が起こっているのか理解しようにも原因が思い当たらなくて身体の機能が停止した。
脳も働くことを止めていて何故視線を逸らされるのか、距離を置かれるのかと自問自答をする。
やはり、何かをしてしまった覚えもなく彼女が出ていく瞬間まで固まっていた。
我に返ったのは船長……、と気遣わしげに声を掛けてくるペンギンの声で意識を戻す。

「もしかして、俺は、嫌われたのか……?」

やっと考え抜いた思考で導き出したのは最悪の事態だった。


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