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しかも、司会者が言うには常套句らしいというのが引っ掛かる。
ペンギンは今にも外へ走り出しそうなリーシャを宥め、丁寧に説明をしてくれた。

「このコンテストはな、恋人、或いは想い人に告白や色恋云々の言葉を伝える大会なんだ」

「告白や色恋……でも、トラファルガーさんは何故そのような……?……ま、まさかっ」

「お前にしては察するのが早ェな」

シャチの若干失礼な発言など耳にも入らない程かつてない、尋常ではない程の冷や汗がダラダラと流れる感覚がした。

(もしかして、トラファルガーさんは、叫ぼうと……わ、私に!?)

叫ばれたら注目の的になるのに、穴もないこんな会場ではたくさんの人の視線になんて耐えられない。
きっと、きっと、

「恥ずかしくて、生きた心地なんてしない……!」

そこまで最悪な未来を予言し、急いでこの会場から出てしまおうとベポにトイレに行きたいと告げる。

「え?でもキャプテンの番になっちゃうかもしれないよ?」

「だ、大丈夫です、その、は、早めに行動しますから……あうう」

そう言い終わるや否や人混みを掻き分けて後ろへ後退する。
ペンギンやシャチの声が聞こえたかも知れないが、羞恥心よりも優先されるものなんてない。
そんな事をつらつらと半分暴走気味に考えていれば前方から司会者の次の方どうぞ!という声に、無意識に会場のステージへと目を向けるとあろうことかローが出てきた。

「賞金首なのに躊躇が全くない……!」

海兵が決して少なくない場所に何の抵抗も無しに現れたローに頭痛がした。
そんな言葉を裏切るように観客達はルーキーと名高い彼の登場に驚きながらもサプライズか?と興奮している。
ローもローなら客も客なのか。
呆然と逃げる事を忘れ突っ立っているとローが声を上げ出した。

「お前を愛してる。だから俺を好きになれ」

全く大声でもないのにリーシャの胸にとてもよく響いた。


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