×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
 
28


どうやらベポはローの参加を楽しみにしているようだ。

「キャプテンいいなー……俺も出たいなァ」

「しかし、この会場……海兵も居るぞ」

「うっわ、ほんとだ」

ペンギンの言葉にシャチが苦汁の表情を浮かべる。
その目先を辿ると確かに海兵の制服に身を包んだ男性等が見回っていた。
この会場を警備しているようだ。
そう思っているとベポの大きな腕がリーシャを引き寄せスッポリと大きな身体で包んでくる。

「どうしたんですか?」

突然の行動に呼び掛けるとベポは眉を下げて悲しそうに述べた。

「もし見つかったらリーシャが取られる」

(えっと…………)

そんな風に悲しまれるとどう答えれば良いのか迷う。
ただ純粋に自分の望むこと、当然のこと、誘拐されているから、と様々な答えが浮かぶがどれも目の前の白熊に伝えるには躊躇してしまうものばかり。
甘い思考にいけないと思いながらも傷付けたくないと思う。
何も言えないまま身を任せて入れば司会者が出てきた。

「お待たせしました!これよりシンデレラコンテストを始めます!」

その常套句(じょうとうく)に会場はワーッ!と盛り上がる。
司会者もその盛り上がりに乗じてテンションMAXで声を張り上げるので耳を塞ぐ。
あまりの熱気に外に出たいと思ったがペンギンが船長が出るまでの辛抱だと申し訳なさそうに告げるので我慢するしかないと前を向く。
司会の男性がそのままの勢いで参加者の一人目を紹介してそのままシンデレラコンテストのメインである事をやる。
それは……、

「お前の事を愛してるー!」

「おおーっと!早速コンテストでよくある発言キター!」

愛を叫ぶのである。
それを知らなかったリーシャは唖然となり、頭が白くなり徐々に顔がジワリと熱くなっていく。

「ど、どどどどういう!何ですか今の!?」

思わず敬語をなしに動揺する自分にベポはきょとんと首を傾げ「何が?」と問うのに対しペンギンは知った風に言う。

「知ってるからここに来たのかと思ったが船長は説明してなかったのか……」

「ペンギンさん……私、何も、誰からも聞いてません……何なんですか今のは……恥ずかしい」

いきなり人の目がたくさんあって、一つに集中する場所で脇目も振らず叫ぶなんて聞いている方が恥ずかしい。


prev next
[ back ] bkm