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このまま横になっても辛いのなら船に引き返そうかと提案するとローは太ももの上で首を振った。

「いや、随分と楽になったから大丈夫だ」

彼はそう言い終えるとリーシャの元から顔を上げて、同じように腰掛けるので楽になったのは本当のようだと安心。
それから何となく周りを見ると町のあちこちにある張り紙が目に入る。
張り紙には派手な絵柄で『シンデレラコンテスト』と書いてあった。
ローも同じものを見たのか「シンデレラ?」と言葉を漏らしていて詳細も丁寧に記載されている。
愛を叫ぶ恋人達の祭典……らしい。
開催日は明日と書いてあり、ローは興味がありそうに見ていて少し嫌な予感を感じる。
変な事を考えていなければよいのだが、と祈った。






次の日、隣にローが寝ていて、パニクってベッドから突き落とすといういつもと同じ朝を迎えた。
彼は船員達に食堂で何やら「全員で出掛けるから用意をしておけ」と真面目に発言し彼らは混乱しつつも掛け声を上げて同意。

(何か大切な事があるのかな?)

ご飯を食べながらぼんやりと思い、それからリーシャも準備をして甲板へ向かう。
全員が揃うとローは淡々と口にした。

「この島で今日行われるシンデレラコンテストに出場する事になった」



…………………………………………。



「えええええええ!!」

皆が唖然と口を開き空気は騒然となる。
ペンギンが唐突なローに挙手して発言した。

「もしかしてもうエントリーを?」

「ああ、昨日」

サラッと告げれた言葉に船内は騒然となりローはそんな空気に構わず行くぞ、と一言言う。
彼等は拒否権を持っていない事を分かっているのか素直に後ろに続く。
もっと拒んでもいいんですよ、と内心言うが自分も従うという素直な本能に肩を落とす。
そもそも手を捕まれた時点で逃げられない。
流されるままに付いていくと大きなホール状の建物に到着し中に入ると、会場となっているらしく船員とリーシャにローが行ってくる、と告げると参加者用と看板のある奥の方へと姿を消した。
刀を持参していたので止められはしないのだろうかと思ったが考えるのも何だか疲れたので彼等の会話に耳を傾ける。

「船長マジで参加すんのな」

シャチが呟けばペンギンが頭を抱える。
ベポはキラキラした目で、待望に満ちた様子でステージを見ていた。


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