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二人が懸命に慰めてくれていると視界が一気に薄暗くなり、同時に靴の爪先が写り込み内心何だろうと思い顔を上げると、こちらを見下ろしているローが居た。
何故こんなにも近いのか、どうしてそんなに口元が上に上がっていて上機嫌なのかと疑問を抱きながら見詰めていると、彼は徐に顔を近付け、耳の直ぐ傍にやると恥ずかしい言葉を告げてきた。

「惚れ直した」

(!!……え、惚れ、う、うう、どうしよう、どうすればっ)

思い描いていた言葉は「似合っている」や「綺麗」「良いと思う」そんな類いのありきたりなお世辞。
寧ろ、それだけでも凄く嬉しいし、お世辞としてはそんな台詞が十八番だ。
そんな事を考えていた自分にとってはローの思いがけない言葉は予想外でしかなかった。
どきまぎしているとローが行くか、と言い手を引くのでされるがままに付いていく。
脳裏にちらりとシャチとバンダナにちゃんときっちりお礼を言わないといけないと思い、この空気では離してもらえるか分からなかったので帰ったら絶対に言おうと心に止めておいた。
歩き出した当初は終始楽しそうに笑っていたのに途中から考え込んでいるような険しい表情へとなっていき、何か不手際をやってしまったかと不安が募る。
声を掛けようか掛けまいが迷ったがお腹が痛くなったり体調不良の線も拭えなかったので勇気を出して苗字を呼ぶ。
しかし、返事か帰ってこず聞こえていなかったのかもしれないともう一度呼んでみると、ハッとして気付いてくれたので内心安堵した。

(どうしたんだろう?)

心配もあり問い掛けると目眩がすると言われ思わず声を上げて驚く。
ローは海賊で強くて体力があって健康……隈はあるが医者だしと思いそんな目眩なんてものを起こす事が全く想像出来ない。
取り合えず休める場所を探し、目を左右に動かすとベンチが見えてあそこで休ませようと急いで誘導する。

(あのベンチ固そう……寝にくそうだなぁ)

あれじゃあ休むに休めないと思いピン、と頭上で閃き先に座り膝を提供した。

(これならまだ寝やすくなるよね)

ローの体調が心配で早くここに頭を乗せるように急かし、頭から血を下がらせる為にとハンカチを取り出す。
それを顔にかけると彼は何故か黙ったので慌てて日光を避ける為だと説明した。


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