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LAW side


せかせかとベンチのある場所にローを引っ張っていき、先にリーシャが座るので疑問がふつりと湧く。
ローを寝かせるというわけではないのだろうかと思えば、彼女は徐にハンカチを取り出し「どうぞ」と言う。
どうぞ、とは意味がよく、

「膝の上に頭を、乗せて下さい。えと、確か……貧血は横になると楽になる……んでしたっけ?……と、とにかく横になって下さい!」

不安げに対処法を述べる女にぽかんと思わず呆ける。
早く、と急かされ渋々足と上半身をベンチに乗せて横たわると、視界に細い二つの手が見えてグッと痛くない強さで頭を膝へと誘導された。
そして、ハラリとハンカチを顔にかけられ複雑な気分になる。

「あ、い、いきなりかけてすいません!……あの、日除けになればいいと言いますか、せめてもの、その、あの」

「っ…………はァ…………いや、大分助かる……これのおかげか少し楽になった」

一生懸命に目眩をどうにかしようとローを看病するリーシャに毒気を抜かれ、先程の黒い感情が嘘のようになくなっていく。
どろどろしたものが溶けていき、自分が心底馬鹿らしい思考に犯されていたのだと思い知らされた。



***



シャチが思い付いたのは、ローにドッキリサプライズをしようという提案だった。
その時は、やってもらったけれど、し慣れないメイクを見られる事に凄く抵抗があって恥ずかしくて反対したのだが、二人がノリ気になってしまい逃げる事も叶わない。
そして、あれよあれよと外へと行ける扉の一枚越しに立たされ合図したら開ける等と言われてそこに立っているしか道はなく、ドキドキとこの先の人物の反応や表情を考えてはアドレナリン、汗がたらたらと出てくる。
早く時間が進めと祈るが、薄く空いた隙間からシャチの数字のカウントダウンに祈りなんてものは吹き飛ばされてしまう。
いよいよ、と俯き加減でその瞬間に備えるとフッと太陽の光が全体を照らす。
最初は目が光に慣れなくて、見えずらかったローの姿も鮮明になり表情が見えた。
彼の目は……とても唖然としていた。
こっちも唖然となり期待がどんどん萎んでいくのを感じ、握っていた裾を見つめ朧気になる視界に泣いては駄目だ、と言い聞かせる。
化粧で泣くなんて、あってはならない事だ。
そんなリーシャに気付いたバンダナ達はお世辞を言うが、今の気持ちではその言葉が酷く心を痛めつけた。


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