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LAW side


ローは一度化粧をしたリーシャを見た事がある。
それは、まだ船に乗せる前で、潜入捜査をしている時にたまたま入った酒場で出くわした。
幸運にも、あの時はもう会えないと思い落ち込んでいた時で、まさかまた出会えるとは思っていなかった。
そんな時に露出の多い服を着ていて、濃い化粧をしていたのだが、それとは比べ物にならないくらいナチュラルで更に女っぽく、凄く色香を感じくらりとしそうだ。
目の前で、半泣きで見上げられうっとりとなりそうな己を叱責し、耳に唇を寄せて「惚れ直した」と想いを告げる。
すると、チークを塗っていない頬が真っ赤に熟れた。

「さて、行くか」

「は、はいっ……あ」

低いヒールを履く女の手を取り、いってらっしゃいと見送る船員二人にちらりと視線をやり礼を送る。
それを受け取った二人はハイタッチしていた。

「っ、あの、け、化粧……可笑しくないですか?私……あんまりやったことないのに……慣れない事をしてもらって……」

シュン、と効果音が付きそうなリーシャは正直凄く可愛い、可愛過ぎる。
目に毒だろ、と思ってしまうくらい似合っていて、それを言葉にするにはどういった言葉をかけたら良いのかと思考を巡らす。

「俺はそのメイク、いいと思うぜ……例えスッピンでも、俺はお前にいつも惚れ惚れしてるけどな……」

「ほっ!?……え、ええと。ええっと」

動揺している様を観察しつつ極め細やかなメイクの腕にこんな事が出来る奴がいたんだな、と感心する。
そして、こんなにも変身してしまった綺麗なリーシャを連れて回りたくないと思って、町を歩いている男達に見せたくないと独占欲が胸を渦巻く。
独り占めしたくて、囲いたくて、隠してしまいたくなる。
堪らなくて嫉妬さえ沸き上がってくる。
過剰な本能だと頭では分かっているが、相手が異性である限り男という虫が女を恋愛対象、又は下心を前提に見るというのは避けられない。
自分がその男だから分かる。

「あの、トラファルガーさん?」

「あ?」

「何度も呼んでいたのですが、具合でも悪いのですか?」

嗚呼、黒い感情でいっぱいの自分に何も知らず心配だという気持ちで顔を向けてくるその無垢さを自身の色に塗り潰したくなる。

「…………少し、目眩がする」

「え!そ、それは!大変です……あそこのベンチまで歩けますかっ」

あっさりとローの嘘に惑わされる。
しかし、嘘というには彼女の白い眩しさに当てられたのは本当なので、あながち間違っていないかもしれない。


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