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LAW side

リーシャが部屋に入ってから自室で準備して船の中央扉の外で待機する事、三十分。
こんなに彼女に待たされたことも驚きだが、らしくない時間のかかりように心配になる。
覗いて様子を見ても良かったのだが、やはりデートなるもの待ち合わせが味噌だと思うのだ。
しかし、あまりに遅いので、もう見てきた方が良いのではないか、と足を少し上げた。

「……!……お前らか」

扉が開く気配に、反射的に見ればシャチとバンダナが出てきた。
そして、シャチが出てきた後にバンダナが扉を少し開けた状態で止まる。

「ふっふっふ!……船長、俺ら見てほしいものがあるんです!」

「何だその前振りは」

「まーまー船長。かなり期待して見てもらってもいいと思いますよー」

バンダナ達は揃いも揃って何かを始めるつもりで、不思議に思いつつバンダナが少し開いている扉に目を向けた。


「おっしゃ、行くぞっ……さーん、にー、いーち……!」

シャチの合図で開かれる扉。
その瞬間がやけにスローに見えて、目の錯覚かと思ったが、どうやら違うらしい。

「…………!?」

「どーすか!どーすか船長!まじイケてるくないですかっ」

「………………もしかして、リーシャ……か……?」

時が止まった音がして、静寂が周りを包み彼女だけを写す。
ローが今見ているのは紛れもない海兵である上に、好意を抱いている女性で、とてもではないが口が開かない。
綺麗で見惚れてしまい、言葉が浮かばないのだ。
綺麗だ、似合ってる……どれも自分の心と釣り合わない気がする。
これを例えるなら…………目を奪われる程の儚さ……。

(くそ……上手く言えねェっ)

自分の上手く動かない、気の効かない頭脳に歯痒くなった。
ローが葛藤している間にリーシャの顔が緊張から泣きかけに変わる。
きっと何も答えないからネガティブな思考に至ってしまったのだろうか、と彼女の慎ましさ溢れる性格を思えばすぐに察する事が出来た。
シャチやバンダナが彼女に大丈夫、変じゃないから、と慰める声が聞こえ愛しい女の元へ足が動く。
前まで来ると、俯かせていた顔を上げるので、目尻の少し溜まった涙をキュッと拭うとリーシャのきょとんとした可愛い表情にそっと口元を弓なりに曲げた。


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