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そして、それを自覚すると腰を斜めに折り、ごめんなさい!と相手に謝る。

「え!や、別に謝ることでもねーし!てか、止めてくれ!船長にこんなとこ見られたら俺はヤバイことになるっ」

慌ててリーシャの体を元の場所に戻させるとシャチは周りを見て自室へと二人で押し入る。
で?と聞いてくる彼に興奮してしまった理由を述べると成る程な、とシャチは腕を組んで頷く。

「それなら話は簡単だ。さっきも言ったけどな、バンダナって奴が一番化粧品とかには詳しい。そいつにやってもらえ」

「ですが……ご迷惑では」

「んなことはないな。なんせあいつなナンパのプロだ」

「えっ…………………………」

「ぐ…………リーシャ、た、頼むから俺にそんな目を向けないで…………何かすいません」

「何故謝るんです?別に普通に見ただけですよ?」

ネガティブなシャチにクエスチョンマークが浮かび、そんな事を言っている場合でないと彼に先程の名前の人物について聞く。

「私……もう大人なのに化粧の一つも出来ないんですよ……お願いです、そのバンダナさんという方を紹介していただけませんか?」

「そんな可愛い頼み事を俺が無視するわけねェだろ?……俺の株もウナギ登りだな、こりゃ」

「最後の方が上手く聞き取れなかったのですが、何と言ったのですか?」

「ん、特に重要な事でもねェから気にすんな!それより、バンダナを今すぐ呼んできてやるから部屋で座って待ってろよ、へへっ!」

何やらニヘッと笑い、善からぬ事を考えていた風のシャチは誤魔化すとすぐに廊下に消えた。
何だかモヤッとする最後にドレッサーの鏡の前に座るとそんな出来事も頭の隅に追いやられ深呼吸。
初めての化粧をするんだ、と思えばまるでローを前にした時と同じくらい心臓が早くなった。
でも、一つ違うのは楽しみにしている自分がいるということで。

「連れてきたぞ」

シャチが得意気に部屋に入ってくると、もう一人の男性も何か箱のようなものを参じて入ってきた。
初めて対面するのはやはり緊張する。

「俺は君のこと知ってるけど、リーシャちゃんは俺とは初めて会うかな?」

のほほんとしている口調に肩透かしをくらい、唖然とする。
初めましての握手を済ませるとバンダナと名乗った男は持っていたボックスをドレッサーの台に置いて中を開けた。


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