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口に入れて味を楽しんでいる間もシャチは仲間と笑っていて、それを眺めていると不意に最後のランと別れた後の、ローの台詞と体温を思い出し人知れず胸が激しく鳴る。
そろりとローを窺い見るといつもと変わらずに自分と同じように食べていた。
凝視しているのはとても失礼だと思い俯く。

「気分でも悪いのか」

「え……いいえ、少し考え事をしてただけです」

不意打ちで声をかけられ、心配をかけてしまわないように首を降るも彼は額に手を当てて手首を掴み脈を取る。
手先の感触にドキリとして内心慌てると邪な思いを振り払うように首を降った。

(私は何を考えてるのっ。相手はトラファルガーさんで私は海兵なのに)

何度も自問自答してきた考えを何度も何度も胸に反響させていると計り終わったようで手先が離れていく。

「少し脈が早いな……今日はもう早めに休め」

「えっと、本当にしんどくなんてないんですけど……」

恐らく脈が早いと診断されたのは思い出したりと感情が高ぶってしまったから。
そう言いたくても言えない内容なので心配は無用だと言う。
ローはそれでも納得いかなかったらしく耳元に顔を近づけ小さくリーシャにしか聞こえないように「眠れないのなら寝かせてやろうか」などと大胆な発言をするので口が呆気にパクパクとなる。
赤面しながら遠慮しますと断るとマグロの叩きを急いで口に詰め込み頑張って噛む。
横からそんなに食べると喉を詰まらせるという注意に貴方のせいでこんな行動を取っているのだと思ったが、口にたくさん入れているので喋れなかった。



次の島は『灰被り島』という島らしく、観光地として名が知れているとペンギンから聞いた。
何でも昔からある言い伝えの元となった島らしくリゾートもあるらしい。
ランと別れてからの島ということもあり、本当に彼女と別れてしまったのだと、改めて実感した。

『俺が守ってやる』

ふとローの言葉を思い出し、悲壮感を漂わせた声音が新しい疑問を浮かばせる。
何故彼はあんなにも悲しげに告げたのだろうと。


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