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リーシャとランが入れ替わり三日が経過した時と同時に元に戻った。
その間にも色々とあり、キッドが入れ替わりを知りローと喧嘩をし始めたりと忙しなかった。
それを止めたり慌てたり悩んだりした船員達の苦労の方が大きく三日間で一番疲労したのは彼等だろう。
漸く自身の身体に戻れた時は思わず歓喜に泣いてしまい二人の船長がランに怒られていた。

「だから俺は無関係じゃねーか!?」

理不尽な連帯責任に激怒しつつも、キッドはキラーに酒を飲みながらぼやいていたらしいとランに聞いて、後から報復がやって来ないかとビクビクしたがランにもハートの船員達にもそんな事で報復などされる訳が無いと笑い飛ばされた。
そんな風に言われてしまえば、それもそうかと思えるような思えないような複雑なままランと別れる日がやってくる。

「て、い、う、か!私達がなんで別れなきゃいけないの!?もう別に二人で海軍に戻ってしまうか、どちらかの船に乗ればいーんじゃない!!」

突然ランがそんな事を言い始めたから、もう二つの船は大騒ぎだ。
その言葉が発された瞬間ローは目に見えぬ早さでリーシャと船内にある椅子を入れ換え、キッドはランの腕を掴む行為に走る。
リーシャは走ってまた甲板に戻ったり、ランもキッドの小尾に深く肘を入れたりして抵抗するとまたもやキッドは理不尽だろ、と嘆く。

「離して触らないで近付かないで、それを破ったから当然の報いよ」

フン、と鼻を鳴らしつつも澄ませる女にローは喉で笑い、目を愉快だと揺らす。

「お前が俺から奪えるとでも思ってんのか?」

「私は海兵よ。そして、あの子もね。そんな隔たりがある限り貴方が得られるものなんて無いわ……貴方こそ私から奪えると思っているのなら大間違いね」

暗に海賊と海兵の壁を揶揄され苛立たしげにランを睨むロー。
それにアワアワして二人を仲裁すると突然ランが抱き締めてきて硬直する。
どぎまぎしていると耳元で囁かれた。

「次会うときも買い物たくさんして、たくさん喋りましょ」

にこりと笑いかけられ笑みを返すとゆっくり身体が離れていき、一歩の間が出来た。

「トラファルガー・ロー!リーシャを傷付けたり泣かせたら許さないわよ」

「!、ランちゃん……それ、何だか嫁入り前みたいな台詞だよ……」

気落ちしながら指摘してもランはそうね、とお茶目に笑う。

「あ、あの、ユースタス、さんっ」

「…………」

「ランちゃんの事、ちゃんと守ってあげて下さい……おね、がいします……あの、もしかして怒ってます……?ご、ごめんなさいいいい!」

あまりに無言かつ無表情で見てくるので失礼だったかと思い直し土下座ギリギリの体勢で謝れば不機嫌な声でやめろと言われる。

「お前が一々怯えるから喋らねーだけだっ、んな事より謝んな!また俺は理不尽なもん掴まされんだよっ」

後半は殆ど理不尽な事について語っているが残忍な空気もなかったので怯えながらも、もう一度船でお世話になった事にお礼を述べた。


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