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「船長……どういうことか説明してもらえますよね」
「そうよ!薄情しなさいこの外道!」
「ランちゃん落ち着いて……」
飄々と椅子に座り太ももの上に肘を乗せ手の甲に顔を乗せるローに詰め寄るペンギン達に彼は直もサラッと罪を認める。
「可愛くねェお前を最高に良い女にしてやったんだ。文句を言われる事はしてねーな。寧ろ礼でも寄越せ」
ふんぞり返るローにリーシャの顔をしたランが額に青筋を立てる。
襟首を掴み上げ締め上げると至近距離にある二人を慌てて止めた。
「ラ、ランちゃん顔が近いよ!離れて〜っ」
「船長、これは元に戻るんですか?」
唯一冷静に尋ねるペンギンにローは三日間限定の薬だと言うので戻れる事実にホッと胸を撫で下ろす。
それでもランはローを締め上げた。
「じゃあこの三日間キッドの船に行かせてもらうわ。幸いにもログが溜まるのは十日も先だから」
ローの襟首を乱暴に離すとランはリーシャの手を取って踵を返す。
それに焦るのはリーシャで、あの怖い船でまた寝泊まりしなければならないと泣きたくなる。
大丈夫と慰めるランだが自分の身体ですらないこの姿で三日間も居馴れない場所に行くのは渋った。
するとローが楽しげに喉を震わす。
「お前は親友を無理矢理居たくない場所に縛るのか?」
「黙りなさいトラファルガー!」
ランは持っていた石のナイフでロー目掛けて手を払う。
それを避けて挑発するように怖い女だと言う男にハラハラする。
「トラファルガーさんお願いです……これ以上私の友達を苛めないで下さい……お願いです」
どんどん声が小さくなっていくランの身体に宿るリーシャ。
最後には俯きシュンとなるとローの我慢した声音が聞こえた。
「……チッ……悪かったよラン屋」
「ふん。まぁこの子が言うのなら少しくらい大人になってあげる……ていうか何なのよラン屋って」
収集のついた様子の会話に顔を上げ頬を緩ませる。
ペンギンを見ると彼は口元を上げこくりと頷いた。
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