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ランは話しを強制終了させるとリーシャの手を掴んでパジャマ専門店へと入った。

「へぇー、結構種類あるわねぇ」

「うん。ふわふわしたものもある」

「春島っていうのもあるからかしら?」

「あ、あれ、可愛い……」

やはりリーシャも女子なのだから、可愛いものにはつい目を奪われてしまう。
やんややんやと盛り上がっているうちについつい購入してしまったふわふわでモコモコな素材で作られたパーカ付きパジャマ。
二十歳にしてはと思ったが二人だけのパーティーなので目をつむる。
ランはるんるんと上機嫌に笑顔を浮かべ手をつないできた。
昔同じ場所で働いていた時はよく二人で笑いながら歩いたことを思い出す。
本当に道を違えてしまい、電話や手紙のやりとりになってしまったが今こうして話せることにローに感謝した。
改めて実感すると頬が緩む。




何軒か店を回ると日が暮れる前に船へ向かった。
すると黄色い潜水艇がキッドの船の隣に停泊していたので驚く。
ガコンと扉が開く音がして刀を担いだ男と白熊が歩いてきた。
ベポが小さな袋を差し出したので受けとる。

「リーシャ、日用品持ってきたぞ」

「ありがとうございます」

「ユースタス屋とは馴れ合うつもりはねェが万が一に越したことはないだろ」

「あ、はい。私は構わないのですが、ユースタスさんは」

「あのチューリップには私が言っておくわ」

ローはそれを聞き話が分かる奴だな、とニヒルに笑う。
ランはその言葉に顔を不愉快に歪めこの子の為よ、とリーシャを見た。
本当はあのユースタス・キッドの船に一日泊まるのはすごく嫌だったが決定事項なので我慢する。

「いいか良く聞け。ユースタス屋に風呂を覗かれたらすかさず変態!と叫べ。俺は刀とカメラを持っていく」

「キャプテン、心の声が漏れてる」

「おっといけねー。まァ取り敢えず小型電伝虫を渡しとく」

「「…………………………」」

ベポに指摘されフフフ、と笑みを浮かべたローはリーシャに手渡すと船の中へ戻っていく。
ランはゴミでも見るかのような顔で彼から目を離さなかった。
苦笑してしまい、いつものことなのでと見送る。
暫くランと立ち話に華を咲かせているとキラーがやってきて「もうそろそろ入らないか」と尋ねてきたので彼女の背後に隠れながらキッド海賊団の船へ入った。
随分と陰気な飾りにビクビクとなりながら周りを見回す。
その時前方からまさかの船長が立ち塞がる。

「ひぃ!」

「ちょっとチューリップ!リーシャを怖がらせないで」

「怖がらせた覚えはねェ…………」

冷静に答えたキッドだが何故怒られなくてはいけないんだという空気を放っていた。
ランとは百八十度違うもう一人の女を見る。
雰囲気は小動物を思わせた。
プルプルと震えながらもよろしくお願いしますと吃りながら挨拶。

「静かに、して、ますから、だからっ、どうか、怒らないで、く、下さいっ」

「んなことで一々怒らねーよ」

「ひぃい!」

「キッドおおおお!!」

「だから何なんだよォ!今のどこを聞いて怯える奴がいるんだァ!」

「こ・こ・に!いるわよおおお!」

「じゃあ俺はどうすればいいんだ!」

「取り敢えず、女の声だせば?」

「てめっ、俺を何だと思ってんだっ」

ランは間を入れずにチューリップ、と口にすればキッドは「キラー!」と助けを求めたのだった。


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