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「いーのいーの!ユースタスにたくさんもらったから(もぎ取った)」

(ううう……でも、なぁ)

リーシャは人に奢られたことなどあまりない。
奢って欲しいという欲求もないし、罪悪感がある。
お金が……と考えてしまうのだ。
そんなリーシャの悩みに敏感に気付くのは、もちろんランであった。

「リーシャ、貴女はもっと贅沢になるべきだわ」

「ランちゃん……私、やっぱり慣れないよ……奢られるなんて」

「大丈夫よ!リーシャの分を払ったくらいであの海賊達がどうなるわけでもないんだし、ね?」

「う、うん」

微かに後を引いているがリーシャは頷いた。
ランが大丈夫と言ったからだろうか?
と、リーシャは思う。

(トラファルガーさんも、ああ言ってたし……)

実は、ランにここへ連れてこられる前。
ハートの海賊団達と別れる間際にローにこっそりと耳打ちされたのだ。

『せっかく会えたんだ。目一杯楽しんでこい』

その言葉に驚きと喜びを感じた。
ローはリーシャに優しいと先程ランにも説明したが、やはりその通りだと思う。
気を遣ってくれた。
リーシャが不安な時は必ずと言っていいほど安心させてくれる大型ルーキー。

「そうと決まれば行きましょ!甘味屋でいい?」

「うん」

リーシャは提案に相槌を打つと、ランに手を引かれた。
彼女は上機嫌に歩く。

「あ!パジャマ……買っていきましょうか!」

「ええ!?」

突然パジャマの見本が置いてある店で立ち止まったランが唐突に言った。

「パジャマパーティーしましょ、二人で!」

「パーティー?」

「ええ、二人で会えなかった分の埋め合わせをするの。きっと楽しいわよ!」

パジャマパーティーというものは雑誌で何度か見た事があり、リーシャもそれとなく知っている。
二人から数人でパジャマを着て朝までトークをするものだったはずだ。

「で、でも……どこで?」

「あ……それもそうね。うーん、キッド海賊団、とかはどう?」

「ひ、ひぇええ!」

リーシャは震え上がらずにはいられなかった。
泣く子も黙る海賊団にお泊りするなんて、きっと次の日には骨だけになっているに違いない。
恐すぎるし難易度が高すぎる。

「大丈夫大丈夫。私が保証するわ。リーシャには指一本触れさせやしないわ」


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