08
リーシャはえぐえぐと涙し、ランは嬉しさに言葉を紡ぐ。
「リーシャ、無事でよかったわ」
「わ、私も……!」
リーシャは同じことを聞こうとして言葉に詰まる。
ランは親友らしい言動にクスリと笑う。
「相変わらずリーシャはよく泣く子ね……」
「私、ランちゃんと、同じ歳、だよぉ……」
ひっくひっくと喉を鳴らすリーシャ。
ランは優しく背中を摩る。
「トラファルガー」
「ユースタス屋」
二人の海兵が抱き合っている間、二人の海賊の筆頭が睨み合っていた。
両者引かず、温かい抱擁なんて雰囲気とは別次元であった。
どちらも海兵を誘拐したのだから、似た者同士であるということは誰も口にしない。
「ねぇ。なんでキャプテン達、睨み合ってるの?」
「さァ?」
ベポの疑問にシャチも首を傾ける。
「ウマでも合わないんだろ」
「あァ……成る程な」
ペンギンが推測を述べると、シャチは納得するように頷いた。
そんな中、陰湿な空気を破るような声が響く。
「ユースタス!」
「てめェ、何度言やァわかる!キッドだっつってんだろ!」
「あんたはユースタスで十分よっ。そんなことより」
「そんなことよりってなんだ!あァ!?」
「もう、話が進まない!」
ランはイライラしたようにナイフを投げた。
石で出来ているのでキッドの能力ではどうにもできない。
「っ、ふざけんな!」
「お黙り!リーシャと私、今から買い物に行くから邪魔しないでね」
「なに?」
ランの言葉にいち早く反応したのはロー。
リーシャの腰に手を回し、ランに口を出す。
「それは聞き捨てならねェな」
「貴方何?私の邪魔しようっての?」
バチバチと火花を散らす二人。
リーシャは間に挟まれオロオロとしていた。
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