07
フルッタ島に行く前にログポースは違う島を示した。
「パシャマ……」
「どう見てもヨレヨレの服だろ」
シャチが呟くとローが言い切る。
今、ハートの海賊団が停泊しているのは、島全体の形が『パジャマ』に見えるというパジャマ島。
この島は名前に乗っ取り、パジャマを名産としている。
生地は滑らかで繊維は細く繊細。
着心地もよくバリエーションが豊富だ。
「ネグリジェを買わないとな……いだだだだだ!!」
「お前は余計なことをするな」
ぼそりと独自の計画を企てるシャチにペンギンの頭をわしづかみ!攻撃が炸裂する。
ペンギン曰く「少ない脳みそのせいで大きい頭を効率よく小さくするため」らしい。
激しく痛みに悶えるシャチにペンギンは釘を刺す。
「トラファルガーさん」
「なんだ?」
そんな二人を気にせずにリーシャの腰に手を回すロー。
リーシャは珍しくそれを咎めないまま、ある一つの大きな船を凝視していた。
「あれ……もしかして……」
「海賊船だな」
ロー達の船とは異なった造りのドクロマークが解こされた全体的にホラーな海賊船。
その気味の悪い装飾にリーシャはゾッとする。
すると、立ち止まっているハートの海賊団の視線の先にある船の扉が音を立てて開いた。
「キッド、くれぐれも騒ぎは起こすな」
「てめェはいつも同じことしか言わねェな……」
「あんたの日頃の行いが悪いからじゃないの?」
「うるせェ……」
初めにリーシャの脳裏を巡ったのは赤。
そして、黄色。
次は「懐かしい」だった。
「ラン……ちゃ、ん……?」
「あ?」
「え?−−っ!!」
ローと同じくルーキーの中で上位に位置する賞金首、ユースタス・“キャプテン"キッドの横にいる人物がリーシャを見た途端、目を大きく見開いた。
リーシャもその人物の姿を確認すると、じわりと涙ぐむ。
「リーシャー!!」
「ランちゃんっ!」
三億のユースタス・キッドに誘拐された女海兵として新聞の一面を飾った海兵軍曹、フィールド・ランその人であった。
リーシャとランはお互いに走り寄り、ギュッと抱き合う。
二人は昔からの親友であり、どちらも海賊に攫われた者同士である。
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