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クラスメイト side


学校に入学して、初めての文化祭。
中学生になるのはドキドキしたけれど慣れてしまえば小学校と同じだった。
そこで地味で特に取り柄もない平凡な自分が気になる男の子が出来た。
その子は他の女子からも好意を寄せられる程カッコ良い生徒。
名前はトラファルガー・ロー。
保健委員になった彼と同じ委員になった時は人生の運を全て使い果たしたと思った。
彼が保健委員だと知った女子からは羨ましいと言われたが、頼まれたって譲る気は毛頭なかったので苦笑してやり過ごす。
文化祭の準備期間は、彼は引っ張りダコだった。
細身の身体からは想像の付かない程の体力を持っているローは入学してから半年しか経っていないのに部活の人から助っ人として呼ばれたりしていて大活躍。
しかし、本人はどこの部にも属さなくて、所謂帰宅部。
あんなにスポーツが出来るのに、と皆は言うが彼は放課後にはすぐに帰ってしまう。
準備期間を経て、完成した物を組み立てたりして、二日後の文化祭はあっという間にやってきた。
この学校は街の北にあるから北中と呼ばれ、他にも東西南北の名前を軸にした中学校が点在している。
文化祭はオープニングセレモニーの時には既に人で賑わっていて、緊張に手汗をかいた。
女の子として、それは沽券に関わるからトイレでちゃんと手を洗ったが。
それから、もしかしたらローを誘えるかもしれないと淡い片思いを宿して廊下を歩いていれば女子のキャピキャピとした声が聞こえてきて、何事だろうかと前を見ると、遠目に女子がひしめいていて、驚きに口が開く。
固まったまま見ているとロー、という名前が出てきてどこに居るんだろうと周りを見るが見当たらない。
聞き間違いかと思っていると真ん中が少し空いて隙間が空く。
その際、黒い学ランが見えて微かに男子生徒の顔が見えた。
間違いない、あれは、

(トラファルガーくん!?)

あんな集団に囲まれていては声も掛けられない。
泣く泣く、その集団の後ろを遠目に見送り気付かれないように付いていく。
ええ、もちろん、まだ諦めてないのだ。
グッと握り拳をして、影を薄くして後を追えば途中で集団が立ち止まる。
もしかして気付かれたのかとビビったが、どうやら違ったようだ。
そして、女子の群が二つに割れて数人の人達とローがこちらに遣ってくるのが見えて咄嗟に周りの人達に溶け込む。
女子達はどこいくの、ロー!と叫んでいて、でもローは何も言わず去っていった。
今のは彼の知り合いだろうかと思い、文化祭は誘えそうにないと肩を落とす。
しかし、数人の人達の一人にやけに嬉しそうな顔をしていたのは見間違いだろうかと首を傾げたのだった。


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