×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
 
58


しかし、それから毎日彼女はゾロを横に伴い教室まで誘いに来た。
美人と顔の整っている二人はよく目立ち、誘われるリーシャ自身も自ずと目立ってしまう事に頭が痛くなる。
お弁当以外にも彼女はわざわざ隣のこのクラスにやってきて世間話やら話題やらを持ってきた。
ナミは情報に長けている。
クラスの誰と誰が付き合っているとか、先生の裏事情などを詳しく知っていた。
プロフィールなんかも何故か詳しくて、暫くして彼女が美人という名の守銭金なのを知る。
天は彼女をどうやら悪女にでもする気か。
そう思うくらいナミはお金に妥協しない。
ゾロもいつか永遠の眠りにつきそうな程いつも寝ていてまともに話した事がないしと、変わり者のイメージが出来上がった。
そして、そんな学校生活以外にも変わったことがある。


「リーシャ」

「窓から入らないで」


相変わらず家主に無断で不法侵入するローは中学生になって半年しか経っていないのに何故か生意気度と俺様(?)度が上がった。
昔に比べれば舌ったらずもなくなり年齢と性格が少しマッチし始めている。
でも、やはり憎たらしい大人みたいな思考は健在だが。
ピシャリと注意を言うのにスルーされムカッとなる前に呆れが来る。
いい加減インターホンという文明の力を活用しろ。
無言の圧力をかけるがそれに構わずズカズカと近寄ってきて何かの紙を渡される。
これは例のフラグだろう。
参観日だろうかと予想していると紙には『文化祭』という文字があり何だ、と肩を落とす。


「さすがにこういったものには出る責務は持ち合わせてない」

「冷たいこと言うなよ」


流すように述べればスッと近寄ってきてリーシャの髪を一つ分絡め取りクルリと指に巻き付ける男に怪訝に顔をしかめる。
最近こういった色めいた行為と態度を表面化してきたローにむず痒さと、何とも言えない後ろめたさと勘弁してくれという面倒臭さを感じるようになった。
きっと彼はもう子供ではない、とでもアピールしたいのだろうか?
指を髪から解放させるように首を横に払うと、あっさり引き下がる。
こういうところは昔から変わっていない。
嫌がる素振りを見せれば彼はこちらが驚く程普段と変わらない態度に切り替える。
振り回されるものかと一つ息を吐くと前方から期待に満ちた目をされ額に手を当てて白旗を振った。


「行けばいーんでしょ」


もう選択肢には諦めという言葉しか存在しない。


prev next
[ back ] bkm