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- ナノ -
 
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痛い音を奏でて起きた男子は後頭部を擦りながら「何しやがるっ」と女子をね目つけていた。
女子はそんな視線を物ともせず、ふんっと横を向く。


「あんたがこんなとこに寝てるから迷惑してる人がいるのっ。ほら」


突然こちらを向いた女子に固まる。
男子はこちらを向いてそうなのか?とリーシャに問いかけてきた。
返答に困っているとそれを察したのかオレンジ色の髪をたなびかせている女子が眉を下げて申し訳なさそうな顔になる。


「あ、ごめん。こんな場面見せたら戸惑うわよね……いきなり巻き込んで悪いわね。私ナミっていうの。で、こいつはゾロ」

「は、はぁ」

(いきなり自己紹介されても……)


困っていると貴女は?と名前を聞かれ渋々名前を言う。


「よろしく……えーっと、リーシャって呼んでもいい?私の事もナミでいいから」

「お好きに……」


目まぐるしい展開に唖然となりながら足す。
我が道を行くような喋り具合に流されていると、ゾロと紹介された男子がまた寝息を立ててベンチで寝始めナミが叩くという光景を繰り返し、何故か一緒にお弁当を食べようと誘われあれよあれよとベンチに座らされ、お弁当を広げる自分がいた。
そこでナミが話していた内容は、ゾロは年上なのだが留年していて同じ学年なんだとか、近所に東中に通うルフィという少年や違う高校に行った子とは幼馴染みなのだとか、とにかく相槌を打つしかない。
でも、不思議とその声は不快ではない。
かと言って楽しいわけでもなく、本当に自分でもよく分からないけれど聞き入ってしまう何か、惹き付けられるような…………きっと勘違いだろう。
自己完結させてチャイムが鳴りお昼休みが終わる合図に彼等と別れた。


(変な人達……)


ナミという生徒は美人と呼ばれる部類の人間でゾロという生徒はサボり癖のある人格が濃い人達なのに自分なんかに話してきた気が知れない。
今までまともに作ろうと思わなかった知り合い以上の関係を簡単に作られて奇妙な心地に何度も首を傾げたくなる。
でも、どうせまた話さなくなれば自ずと向こうも察して距離を置くようになるだろう。


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